講師 前田 文子 氏 窪 暁子 氏
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■研修名 茨城県市町村保健師連絡協議会 水戸・日立ブロック合同専門研究会
■開催日 令和8年7月27日(月)14時~16時20分
■開催場所 ザ・ヒロサワ・シティ会館 集会室1、2号
■演題 「面接技法とメンタルヘルス~相談支援の技術と自分を大切にする方法」
■講師 ユタリラ相談室 公認心理師 社会福祉士 精神保健福祉士
窪 暁子 氏 、 前田 文子 氏
■参加者 茨城県市町村保健師連絡協議会会員等(保健師)35名
(市町村保健師25名 県保健所保健師3名 事務局7名)
■研修内容
【研修の約束事】
「楽しい」「おもしろい」と感じているとき、脳内ではドーパミンが分泌され、集中力が高まり記憶が定着するため、リラックスして「楽しく学ぶ」ことこそが、最も効率が良く、効果の高い学習方法である。研修中に講師から発言を求められることがあるが、発言したくない場合は目を伏せ目を合わさず、手を×にして、参加者自身の体調や気持ちに合わせ「No」の自己表現を遠慮なく表現していただきたい。
【対人援助の基本】
バイスティックの7原則
①個別化 パターン化せず、利用者一人ひとりの生活の個別性を理解する
②意図的な感情表出 利用者の感情を受けとめ、自由な感情表出を促すように関わる
③統制された情緒的関与 援助者は冷静に援助者自身の感情をコントロールする
④受容 利用者のあるがままを受け入れる
⑤非審判的態度 援助者はあくまでもサポートする立場である
⑥自己決定 利用者の自己判断を促し、利用者の自己決定を尊重する
⑦秘密保持 利用者に関する情報を不必要に漏らさない
【具体的な面接技法】
①観察をする(される)
支援者が相談者を観察しているのと同様に、相談者からも観察されていることを自覚し、非言語的表現にも気を配る。カウンセリングは50分枠で実施することが多いが、支援者の服装、姿勢(足組、腕組、体の揺らぎは不安を与える、貧乏ゆすり、力みすぎ)、声の大きさなど支援者が意識するべきことは多くある。支援者はいすの中央に座り、いったん肩を挙げてすとんとおろし体の軸はまっすぐで肩の力は入れないような姿勢の維持が大切なので、フィジカル面も大切になる。また、香りはメッセージ性が強く、思いのほか相談者の無意識の中にはいってしまうこともあるので、香りは無臭をめざす。
(デモンストレーション見学)
特別養護老人ホームでの高齢者女性への排泄介助「お手洗いに行かれませんか」では通じなかった。相談者の文化そのものである方言、どのような言葉を使っているかに着目することが必要
声の大きさ:大きすぎる声が苦手という方が一定数いる
威嚇のサイン、過去のつらい経験や怒鳴り声を思い出すこともある
小さい声は気を使われすぎている印象を抱くこともある
②面接の環境設定
訪問のメリット :生活状況などの情報が得られる
訪問のデメリット:相談者との心的距離が近すぎ、適切な距離感での面接が難しい
本格的な悩み相談は、面接場所を用意しゆっくりと話せる環境を整える
パーソナルスペース(両手をひろげた範囲)に入ってよいのは家族と恋人
他者がパーソナルスペース内に入ると緊張感は増す。テーブルを挟んで先に支援者が座り「お好きなところにどうぞ」と座る位置を相談者に確認しながらすすめる。
相談開始前に「〇時までお話が伺えます」と時間設定し「聞いてもらえなかった」という思いが生じないように配慮する。時としてこの思いがねじれを生じ、支援者への恨みにつながることがあることを注意する。
③傾聴をする
視線は、相談者の胸の上あたりで相談者より目線を上にせず、時折、口元をみて大事なときに視線を合わせる。
序盤:開始10分は話を聞くことに徹する。「聞いてくれている印象」を持ちやすい
ニュアンスが変わらないように、相談者の言葉をそのまま繰り返す
中盤:相談者の言葉を言い換える。適切な言い換えは「聞いている」サインになる
ニーズを焦点化できることで短時間での信頼関係の構築につなげる
終盤:ニーズを要約し、相談者に確認しながら改善に向けての提案や展開につなげる
④質問をする
開かれた質問(はい、いいえ、単語では答えられない質問)の効果
→相談者に考えを深めてもらい、話が広がる
閉じられた質問(はい、いいえ、数語で答えられる質問)の効果
→物事をはっきりさせる
開かれた質問ばかりだと、相談者は考えることが増えるため疲れてしまう
適宜ふたつの質問を使い、面接をすすめることで話が深まる
⑤沈黙への対処
沈黙は、相談者が考えを深めるきっかけにもなる
支援者は沈黙の意味を考えながら待つ
支援者が待っていると、多くの場合は相談者から話し出す
相談拒否の沈黙の場合「話したい気持ちでないのなら、別の日にしましょう」などと支援者が落ち着いて伝え、次の機会もあることを伝える
⑥問題対応と情報提供とリファー
自部署でできる対応とそれ以外のことを相談者にわかりやすく伝える
パンフレットなど視覚情報を渡すと効果的になる
相談者が危機的な場合は、次の相談窓口への同行も視野に入れる
自殺対策として「死にたいですか」とたじろがず希死念慮を聞くことで、相談者の揺らぎはとまり、リスクがわかる。また、泣いてる方は泣き止み、本気で対応しようとしていることが伝わり、リスクを自体を下げる。
【模擬面接視聴】
悪い面接:相談者の話を遮る、話の途中での助言、話のすり替え、不適切なあいづち
良い面接:挨拶、自己紹介、呼び名や面接時間の確認、秘密保持の約束をしてから面接
を開始することが基本となる
「話せる範囲で、無理のない範囲で話してください」のように相談者のペース
で話せるように声かけし、うなずき、あいづちしながら受けとめる
【傾聴練習実践】
会場内で2人組になり相談者と支援者を交互に経験(無言30秒、悪い面接、良い面接)
悪い面接3分
感想①相談者役:相談しにきてはいけなかったと思ってしまった
感想②支援者役:あえて話を遮り被せたが、主導権を握れる感じがして楽しかった
良い面接3分
感想④相談者役:相談しながら自分自身の考えがまとまっていった
感想⑤支援者役:提案しなければと思ってしまうが、話を聞き続ける大変さを感じた
講師感想:悪い面接では、全員が各々に話し、視線も合わず態度も悪い様子を演じきってもらえていた。良い面接では、会場内の声量が半減し、相談者と支援者が明確にみてとれた。実践を通し、支援者側は姿勢や視線、空気を意識しながら、体全体を使いながら聞くため、我慢が必要であることを体感してもらえればよいと感じた。
【援助者自身のメンタルヘルス】
人を支えるためには支援者自身の心身の健康、メンタルヘルスが重要となる。なぜ自分の健康を守らなければいけないのか、メンタルヘルスを守るテクニックを学びたい。
まず、知識としてどんなことがストレスになるか。
職場では、人間関係、異動、転職、昇進、パワハラ、セクハラ、仕事量の変化等
家庭では、家庭環境、友人関係、金銭関係、病気、転居等
しかし、ストレス=悪者ではなく、ストレスが全くないという状況は人間にはないので適度なストレス、人間ひとつふたつのストレスは常に持っていて、それが人間を成長させるとも言われている。心の筋トレになっているととらえてよい。しかし、ストレスが重なると心身にサインがでてくる。
気分が憂鬱、疲れているのに眠れない、寝ても疲れがとれない、イライラする、落ち着かない、死にたい気持ちになる等。
男性は心のサインがでず、体に食欲低下、体がだるい、疲れやすい、肩こり、頭痛、動悸、息切れ、胃の不快感、便秘、下痢、性欲低下、めまい、口が渇く等。
ハードな仕事をしていると思うため「ストレス点数から、あなたのストレス度をチェック」を用い、ストレスチェックをしていただきたい。きょうまでの一年間で体験した出来事について該当するものに〇をつけ、〇がついたところを足しあわせて総合点数を出していただきたい。考え込むと点数をつけにくいため、直感的に〇をつけていただきたい。
チェックしているとこれがストレスなのかと気づくこともあると思う。結婚、妊娠、収入が増える等のお祝い事もストレスになっている。変化が全てストレスになる。
男女別チェック表もあり、配偶者の死は点数が高いが、男性の場合は80点を超えるが、女性の場合は70点程のストレスであり男性と女性でストレス度合いが異なる。
体験ありの合計点数260点以上は黄色信号でメンタルヘルスに危険信号がでやすい状況。300点以上は赤信号で相当な確率で体を壊すことがある。いまの状況が続くと大変危険であることをわかっていただきたいのと、いまの自分の状況を知っておくことがとても大切。
状況を知ったうえで「自分の生活を豊かにする方法について」を用い、自分自身をスマートフォンの充電にたとえ、①の部分に、自分はいまエネルギーが何%残っているか感覚的に想像して一本の線を引いていただきたい。
引きこもりの児は10%未満、不登校の児は30%に線を引くことが多い。
不登校未満の児は15%未満でなんとか毎日学校へ行っている事例もあった。
充電が低いことが悪いわけではなく、人間の充電は疲れれば減る、暑ければ減る、嫌なことがあれば減る。スマートフォンも充電するように、自宅でお風呂に入る、お酒を飲む、ペットと遊ぶ、とにかく寝る等でリラックスし充電し元気になって、翌朝仕事に向かい仕事をしたら減る、この一連を繰り返すことが当たり前のことであるが、これを上手にやっていくことが必要。自分の充電を増やしてくれるものは何か②の部分に記入していただきたい。書くことで頭に刻み込まれ自分に残り、自分の充電を増やせるものとの認識につながる。
心と体はつながっているため嫌なことがあったときに忘れようとしてもなかなか消えないこともある。その場合、体にアプローチすることも方法。様々なやり方であげていく。
呼吸法…「鼻から3秒吸って、口から6秒吐く」を3回
呼吸に集中すると少し気持ちが落ち着くこともある
漸進的筋弛緩法…強制的に力を入れ緊張させ、一気に力を抜き緊張をほぐす
腕の重さを感じ血が通い始めた感覚をもつ、就寝前の実施は良眠につながる
つぎに「幸福度チェック表」を用い、いまここで感じている幸福度を考え込みすぎずに直感で記入していただきたい。チェック表の4、5、6に該当した部分からひとつ取り組む領域を選び「幸福度改善シート」を用い、目標と行動計画をたてる。計画をたてたら「鉄は熱いうちに打て」で2週間以内を期限として計画を覚えているときに行動する。
目標や計画を発表し他者と共有することで認知行動療法を行うこともできるが本日は時間の都合で省略する。
様々な予防をしていてもこころの病になる場合もある。力がないときは視野が狭くなり重要な決定はできないため、休むこと、休んで力をためること。ゼロからの回復は難しいため、自分自身がゼロになる前に医療機関や相談機関につながること。休めないと思い込んでいる場合もあるため、まずは周囲の人に相談することが必要。自分自身に余裕がないと他者の相談に乗ることは難しいため、人と話す、体を動かす等自分なりの方法でまずは自分自身が健康になっていただきたい。
質問①流産死産等の相談では、自分自身も涙がでそうになり感情コントロールが難しい
→悲惨な体験を聞くこともあるため、悲しみにひきずられそうになるが「ひきずられない」という意識を持ちながら「泣く」ことは感情を巻き込まれてしまっていることを自覚しながら面接する。支援者も泣いてしまうとそこで相談は止まってしまう。「悲しい思いをさせてしまった」と相談者に印象をもたせてしまう。
実際のカウンセリングでは3人にひとりは1時間泣き続ける事例もあり、カウンセラーは涙に対する耐性や慣れはある。保健師が相談を受け自然に涙が出たときは、相談者を超える程の涙は控えるべきだが、自然に出る涙を無理に止めようとしなくてもよい。
質問②クレーム対応後の自分自身の気持ちの切り替えについて
→理不尽すぎる対応、一方的にクレーム言いたい人、怒りたくて怒っている人もいるため、不満を言い合える仲間にこぼす。同じ職場だからこそ話せない場合は、同期や別職種の友人に話す。仕事をひきずらず、仕事以外の楽しみや癒しをもっておくと、いつのまにか忘れる、嫌な思いが薄れるようになる。
ほかの質問はメールで受付とする。
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