茨城県市町村保健師連絡協議会のホームページ

茨城県市町村保健師連絡協議会
トップページ > 事業報告

令和8年度専門研究会(全体)

更新日:2026年06月26日

講師 春山 早苗  氏
講師 春山 早苗 氏
令和8年度茨城県市町村保健師連絡協議会
専門研究会(全体) 事業報告

講演 「2040年を見据えた保健活動のあり方・保健師の役割と課題」
講師 自治医科大学看護学部 教授 春山 早苗氏
 
日時:令和8年5月22日(金)14:25~
会場:茨城県市町村会館 講堂

講演概要
2040年は、65歳以上人口が総人口の35%以上を超え、3人に1人が65歳以上の高齢者になる。日本の総人口は減少しつつある中で、高齢化率がピークを迎え、少子化と相まって働き手の中心となる生産年齢人口が減少し、人口構造の変化が問題とされている。人口構造の変化等が影響する健康格差や住民の健康ニーズの変化及び保健医療福祉介護資源の課題を想定し、地域における保健師活動の維持・強化に取り組んでいく必要がある。
令和8年5月15日に保健師活動指針が13年ぶりに改正された。これまでの保健活動指針の経緯・背景を振り返りながら、2040年を見据えた保健活動のあり方とこれからの市町村保健師の役割と課題について講演された。

講演内容
1.保健師活動指針策定の経緯と目的
2.「2040年を見据えた保健師活動のあり方に関する検討会」
  立ち上げの経緯と令和8年保健師活動指針改正
3.これからの健康課題と保健活動
4.これからの自治体保健師活動のあり方と課題~市町村保健師に焦点を当てて~


1.「保健師活動指針」策定の経緯と目的
(資料P3~7)
1.平成10年(1998年)「地域における保健婦及び保健士の保健活動について」
◇(平成10年4月10日健医発第653号 厚生省保健医療局長通知)
・地域保健対策の主要な担い手である保健婦及び保健士の保健活動の在り方
 住民への直接的な保健サービスの提供に重点が充てられてきたが、今後は加えて総合的な保健関連施策の展開に積極的に関わる必要があると、保健婦の保健活動の充実強化  

平成10年(1998年)「地域における保健婦及び保健士の保健活動について」
◇(平成10年4月10日健医地発第33号 厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課長通知)

平成10年(1998年)「地域における保健婦及び保健士の保健活動について」
◇(平成10年4月10日健医地発第34号 厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課保健指導官発)

【背景】
・平成7年(1995年) 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」制定
・平成9年(1997年) 「介護保険法」制定(平成12年全面施行)
               ※市町村保健師の増員が進む
・平成12年(2000年) 第3次国民健康づくり対策(健康日本21)開始
                ゴールドプラン21策定、健やか親子21策定
・平成13年(2001年) 保健師助産師看護師法改正 保健師に名称変更
               ※平成13年~18年地方交付税措置による保健師増員

(資料P8~10)
2.平成15年(2003年)「地域における保健婦及び保健師の保健活動について」
◇(平成15年10月10日健発第1010003号 厚生労働省健康局長通知)
・地域保健対策の主要な担い手である保健師の保健活動の在り方
 住民への直接的な保健サービスの提供及び保健、医療、福祉等のサービスの総合的な調整に重点が充てられてきたが、今後は加えて、保健活動を効果的に展開するため、地域保健関連施策の企画、立案、実施及び評価(PDCA)を行うとともに、保健活動を医療、福祉等との連携、強化の下に実施、総合的な健康施策に関わることが必要。 
・保健師の現任教育 研修、自己啓発の奨励、地域保健対策に係る部門以外への人事異動

平成15年(2003年)「地域における保健婦及び保健師の保健活動について」
◇(平成15年10月10日健総発第1010001号 厚生労働省健康局総務課長通知)
平成15年(2003年)「地域における保健婦及び保健師の保健活動について」
◇(平成15年10月10日事務連絡 厚生労働省健康局総務課保健指導官通知)
・保健師は、所属する地方公共団体の行政職員としての職責を担うだけでなく、専門技術職員として相互に連携を図り、また他職種の職員、住民等と連携及び協働して保健活動を行うことが重要。

【背景】
・平成14年(2002年) 「健康増進法」制定(平成15年施行)
・平成16年(2004年) 「発達障害者支援法」制定(平成18年施行)
・平成17年(2005年) 「障害者自立支援法」制定(平成18年施行)
                「高齢者虐待防止法」制定(平成18年施行)
・平成18年(2006年) 「自殺対策基本法」制定(平成18年施行)
・平成19年(2007年) こんにちは赤ちゃん事業開始
・平成20年(2008年) 特定保健・特定保健指導開始
                ※地方交付税措置による保健師増員
・平成23年(2011年) 自殺・うつ病予防対策
                ※地方交付税措置による保健師増員
                東日本大震災

(資料P11~14)
3.平成25年(2013年)「地域における保健師の保健活動について」
◇(平成25年4月19日健発0419第1号 厚生労働省健康局長通知)   
※健康局長通知、課長通知、保健指導官通知が健康局長通知へ一本化

・地域保健対策の主要な担い手である保健師の保健活動の在り方
 住民への直接的な保健サービスの提供及び保健、医療、福祉等のサービスの総合的な調整に重点が充てられてきたが、今後は加えて、持続可能でかつ地域特性をいかした健康なまちづくり、災害対策等を推進することが必要。
・介護保険法改正による地域包括支援センターの設置等地域包括ケアシステムの推進
・特定健康診査・保健指導、がん対策、自殺対策、肝炎対策、虐待防止対策に関する法整備など保健師活動をめぐる状況は大きく変化。
・ソーシャルキャピタルを活用した自助及び共助も支援の推進
・健康日本21(二次)、重症化予防の推進

(資料P13)  

保健師の保健活動の基本的な方向性(10項目)
■地域診断に基づくPDCAサイクルの実施
■個別課題から地域課題への視点及び活動の展開
■予防的介入の重視
■地区活動に立脚した活動の強化
■地区担当制の推進
■地域特性に応じた健康なまちづくりの推進
■部署横断的な保健活動の連携及び協働
■地域のケアシステムの構築
■各種保健医療福祉計画の策定及び実施
■人材育成


【背景】
・令和4年度 「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」の改正
・令和6年度 「健康日本21(第三次)」の推進
 ビジョン 「すべての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」
 重点   「誰一人取り残さない健康づくり」「より実効性を持つ取組の推進」
・令和5年のかかりつけ医機能が発揮される制度整備、令和6年度からの第8次医療計画
・2040年を見据えると、人口構造や社会環境等の変化により健康課題が複雑化・多様化し、自治体間の健康格差も拡がっていくことが予想
(資料P15~26)
4.令和8年(2026年)「地域における保健師の保健活動について」改正
◇(令和8年5月15日健生発0515第1号 厚生労働省健康・生活衛生局長通知)   

・地域保健対策の主要な担い手である保健師の保健活動の在り方
 ◎今後の人口構成の変化を踏まえ、新たな地域医療構想の策定などの医療政策や地域共生社会の実現による一体的・包括的な支援対策による対策の推進
➞保健分野の他、医療・福祉分野において保健師の役割が一層求められる。

 新たな地域医療構想に関するとりまとめ~市町村の役割~
 市町村は、病院開設者の立場、介護保険事業の主体としての立場、行政の中で住民に最も近い立場等、様々な観点を踏まえながら、地域医療構想の策定や推進に協力する。
 介護保険事業(支援)計画との整合性の確保を図りつつ、都道県と連携しながら、介護に係る課題について地域医療構想調整会議において共有する。
隣接する自治体や構想区域内の他の市町村と連携しながら、医療連携体制の構築や医療と介護の連携を進める。

◎健康危機管理対応では、住民の健康被害の最小化に向けた平時からの体制整備の強化が求められている。

◎健康日本21(第三次)告示(令和5年5月告示、令和6年6月適用)
 健康日本21(第三次)
 誰一人取り残さない健康づくり・・集団や個人の特性を踏まえた健康づくり
より実効性をもつ取組・・アクションプランの提示、ICTの利活用、個人の情報の見える化


2.「2040年を見据えた保健師活動のあり方に関する検討会」立ち上げの経緯と
令和8年保健師活動指針改正

第一 保健師の保健活動の基本的な方向性(10項目)
・・・13年経っても10項目は変更なしではあるが、地域の実情に応じて保健活動を進める
     ↓
第二 活動部署に応じた保健活動の推進
   地域の実情は様々であるため高齢人口と生産年齢人口の人口変化率で分けて考える
   (A類型市町村)高齢人口は増えるが、生産年齢人口は減少する自治体
   (B類型市町村)高齢人口も、生産年齢人口も減少する自治体
    ※2040~2050年は、A類型市町村が減少し、B類型市町村が増える


(資料P27~38)
①保健活動の組織横断的な総合調整及び支援
推進体制の整備
・自治体の地域保健施策の企画、調整及び評価を行えるような体制整備
人口構造や求められるサービス変化等の将来像と保健師や他職種の職員数やソーシャルキャピタルなどの資源を見極める。
・各種保健医療福祉計画の策定及び政策の企画・立案に参画し、事業計画の策定、
 企画立案、予算の確保、事業の評価等(PDCA)を行う。
・各種保健医療福祉計画の策定にとどまらず、防災計画、まちづくり計画等の策定に参画し、施先に結びつく活動を行う。
・保健活動の質の確保と効率的な遂行のため、業務の簡素化やICTの活用を行う。
・市町村の保健事業を合同で実施するなどの取組を検討する場を設ける等、必要に応じて市町村の枠を超えた広域的な連携を推進。
・地区担当制と業務分担制どちらを採用しているに関わらず、各分野の保健師等が分野横断的に世帯や地域に関わるための情報共有の場の設置や設置に係る支援を行う。
・関係機関、部署、県との連携
 分野横断的に世帯や地域に関わるための関係者間との情報共有の場を設置し、
 保健衛生部門、国民健康保険部門、介護保険部門及び生活保護部門においては、各部門が保有するデータ等を含め、密接な連携を図る。
②人材確保の推進
・退職後の保健師や非常勤の保健師を含む多様な採用・雇用形態を活用。
・保健師等の学生実習を効果的にするとともに、インターンシップ等を通じて自治体の 
魅力や保健活動の意義を発信
③技術的及び専門的側面等からの人材育成の推進
・各自治体の人材育成方針に基づき、人材育成計画を策定
・OJT、職場外研修、ジョブローテーション、県と市町村間の人事交流等を盛り込んだ保健師の現任教育体系の構築。
・事務職との連携を図るとともに、専門的業務にとどまらない行政能力を育成する体制を整備。マネジメント能力と実践能力の双方を備えた保健師が求められる、B類型市町村に対しては、早期からのマネジメント能力を育成する体制の構築

 新設 第三 保健師のマネジメント
統括保健師等
1)分野横断的に保健師全体をマネジメントすることができるように、自治体に置いて統括保健師を事務分掌へ明記し、一定の権限を有する職位・役職に充てる。
2)統括保健師の役割は、中期的な視点を持ち、①保健師の保健活動の総合調整 ②人材確保の推進 ③人材育成の推進 ④健康危機管理体制の整備等、中核的な役割を果たす。
(資料P39) 管理能力育成のために ~管理期になる前に~
 管理能力を育成するためにOJTやジョブローテーションと経験で管理能力を育成していく。
経験の分類には、経験的分類、関係的分類、実践的経験の3種類があるが、最近では自然に職場で経験できることが少なくなっている。自己学習の他、OFF-JT(重層的研修・クロスファンクショナルチームによる研修、フィードバック)で経験することもできる。  

3.これからの健康課題と保健活動
4.これからの自治体保健師活動のあり方と課題~市町村保健師に焦点を当てて~
(資P41)
 総人口は、前年より50万人ほど減少しており、18年連続で自然減少している。減少幅は拡大しており、15歳未満の年少人口も減少している。出生数については、77万人まで低下しており、少子化に歯止めがかからない。若者や女性重視に、国民全体へも将来世代へ継承していく責任について共有していく必要がある。

(資料P65~79)  
【2040年を見据えた保健師活動のあり方とは/これからの保健師活動の課題】
・保健師人材の確保・人材育成
・保健師活動の効率化(ICTの活用)
・保健師のマネジメント力、PDCA、データの活用
・分野横断的に必要に応じての他市町、保健所、他部門、関係機関等との連携・協働

【まとめ】
1.自治体の人口動態に応じた「2つの類型化」と戦略
「A類型」高齢人口は増加するが生産年齢人口は減少。増大する高齢者のニーズに対し、いかに効率的・効果的に介入するか課題。
「B類型」高齢人口・生産年齢人口ともに減少。保健師そのものの確保が難しくなるため、業務の絞り込みや広域連携が必須となる。
2.データ活用のための体制づくりと保健師活動の効率化(ICTの活用)
健康格差が生じやすい地区やハイリスク層をデータに基づいてPDCAサイクルでアプローチするなど、ICTを活用した効率化が求められている。
3.都道府県と市町村の「重層的な広域連携」
人材確保・人材育成、広域的な保健師派遣、広域市町村間での連携・協働
4.保健師のマネジメント力
個別の課題を自治体の各種行政計画に反映させるための政策立案、マネジメント力が求めれている。

2040年には、すべての住民に等しく手厚い支援を届けるための人的資源が不足する。そのため、新しい指針では、データとICTによる業務の優先順位付け・重点化を進め、他職種や民間との共同も必須とする保健師活動が求められている。
研修の様子
研修の様子

 

 

ページのトップへ