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令和4年度第1回専門研究会(全体)【Zoom研修】

更新日:2022年06月13日

事業報告 
 令和4年度第1回専門研究会(全体)【Zoom研修】 
1 日時 令和4年5月24日(火) 10:00~11:30 

2 演題 『地域保健活動におけるソーシャルキャピタルの醸成について』

3 講師 茨城県立医療大学保健医療学部 
     看護学科地域看護学 山口 忍 氏

4 内容 
(1)開会・あいさつ 

(2)講演会
演題:「地域保健活動におけるソーシャルキャピタルの醸成について」
講師:茨城県立医療大学保健医療学部 看護学科公衆衛生看護学 山口 忍氏 

1.ソーシャルキャピタルとは 
人々の協調活動(他組織との連携)を活発にすることによって社会の効率性を高めることができる、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴であり、平たく言うと、信頼・情けは人のためにならず持ちつ持たれつお互い様といった「互酬性の規範」をいう。人やグループ間の「絆(ネットワーク)」を意味する。もともと日本文化にあったものだが、効率性を求める世の中になってきている。効率性は人を育てる時にはあてはまらないものではないか。

〇保健師が従来実施してきた地域組織活動とは… 
・健康教育を実施し、自主グループ化、地域での組織化へ 
・民生・児童員のように、行政区ごとの組織だった活動、そことの連携・協働 
・育児サロン・オレンジカフェなど
・老人クラブ、自治会などの住民組織活動。そことの連携・協働 

〇ソーシャルキャピタルの中核概念 
 ① 信頼・規範の価値観を有する
   住民との信頼関係が必要である。緩やかな規範を保健師としてつくることが大切。
 ② ネットワークを有する 
  Ⅰ ブリッジング型(橋渡し型)  ⇒違う人たちをつなぐ地域再生である。
    異質な者同士を結ぶもの。ごちゃまぜ⇒現代のキーワード、横連携のもの。
どんどん広がっていくものであり、これから橋渡し型に変えていく方がよいのでは。
  Ⅱ ボンディング型(結合型)
    同質な者同士が結びつくもの。時には閉鎖的になることもある。
    これまでやっていたことであり、大切なことだが、もう少しオープンになるとよい。
    これから橋渡し型を取り入れていく。

〇ソーシャルキャピタルの概念としては
 ・「社会的信頼」、「ネットワーク」、「互酬性の規範」が相関しており、「お互い様、相互扶助」の考えが大事である。
・人々の健康状態は、それぞれの個人が持っているソーシャルキャピタルと密接な関係がある、という実証研究がある。
・信頼関係が強い地域に住むことが健康につながる。
例えば、健康的なライフスタイルの変化、健康サービスの整備、ストレスが少ない(今後は休養も大事になるだろう)、生活や健康に良い政治や施策が行われているなど…。

2.ソーシャルキャピタル活動の課題
・地縁・血縁的ネットワークは、地域住民の福祉と健康の向上に日本では大きな意味を持っている。コミュニティの中でお互いのニーズを補完しあう地縁・血縁的なソーシャルキャピタルが存在していた中での高齢化だったが、今後は地域のつながりも、人間関係も相互扶助も希薄な状況下で高齢化の進展を迎えることになる。
・通いの場(週1回以上開催)へ参加できる社会を見据え、作っていけるようになると良い。
・2036年にはほぼ3人に1人が高齢者になる。地域をあげてのボランティア学習・健康づくり活動・就労、高齢者の社会参加活動の機会をシームレス(横つながり)に支援していく。
・地域をあげてのボランティア社会的孤立を防ぐとともに、健康状態の維持・向上に寄与する一次予防に関する取り組みに関心が集まっている。
・社会としてのニーズとしての地域再生は、経済再生ではなく社会再生である。
・信頼できる人とのつながりが、社会再生になる。今後、人づくりをしていってほしい。

3.ソーシャルキャピタルの醸成・活用 
・既存の住民組織の活動スタイルを変えることで、好循環が発生する仕組みになる。年功序列ではない、トップの固定化ではない、自主的な好循環な仕組みが作られる。

〇地域の活性化のために必要なこと 
・活動への参加度が高い
・リーダーとメンバーの関係が良好
・楽しい 
  みんなが発言できる会議の雰囲気がある。会議や事業の時、メンバーが楽しそう。
大変だけど楽しい。達成感がある楽しさ。
・地域(社会)に認知されている
・地域の人たちの意見を反映している
・自分の考えを人前で話すこと 
〇ソーシャルキャピタルの醸成は大きな政策課題 
・情報化技術の進展や教育 
・経済格差の拡大からの影響 
・不特定多数の人々に対する社会全体への信頼と規範
 ⇒保健師は不特定多数の人に対応することができる貴重な職種である。保健師は住民を信頼することが大切であり、その結果、住民が保健師を信頼することにつながります。
・現在、ソーシャルキャピタルに不可欠なものは、「対話」である。
・所得格差、資産格差の拡大を是認すべきでない。
※ 保健師は、歩いて、手と口で看護ができる素晴らしい職業です。

〇健康格差とは 
・基本的人権、生存権に反するものである。
・世界人権宣言 すべての者は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有すると、
基本的人権の一つ
・WHOでは、すべての人に健康を
●茨城県民が、自分の力で自分の健康を選択していけるように! 
死ぬまでその人の健康な部分を見つけて看護をしていける保健師であってほしい。
保健師の資格とは、本当に素晴らしいものです。

4.「村の保健師」の映像を視聴 
 ・昭和15年頃の保健師活動の映像。

5.保健師のキャリアラダーの専門的能力に関する共分散分析結果について 
 ・キャリアレベルとその定義について、現在その業務についていないからできないと判断するのではなく、これまでやってきていればできるとして良い。地域組織の育成(地区組織活動)など。
 ・ケアシステムの構築 施策化し、他課との会議など、施策化に関与しているのでは…

 住民の暮らしを理解し、住民と対等な目線をもって、
一緒に活動して、生活の場にいって、よく見る・観る・診ることが大事
      保健師から歩み寄って
住民とともに未来を創る 


(3)閉会 

関連書類

 

 

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