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平成28年度専門部会

更新日:2016年07月22日

土屋 佳子 氏
土屋 佳子 氏
平成28年度 専門部会事業報告

日時:平成28年7月11日(月)13時30分~15時30分
会場:茨城県市町村会館 201会議室
演題:「スクールソーシャルワーカーから見た子育て支援」
講師:立教大学兼任講師
福島県教育委員会 スクールソーシャルワーカー スーパーバイザー
社会福祉士 土屋佳子 氏
内容:
○子育て支援におけるスクールソーシャルワークの動向
 文部科学省が2008年からスクールソーシャルワーカー事業を開始した。開始当時は,全国で1,000人弱だったが,現在は,3,000人に増加している。さらに,2019年までに1万人に増員する予定があり,スポットがあたっている職業である。
 スクールソーシャルワーカーも保健師も子ども達を支援する専門職であることは変わらない。

○スクールソーシャルワーカーになったわけ (自己紹介にかえて)
自身の育ちを振り返ると,教育学科で学んだが,教育者にならなかった。双子であるため,イレギュラーな育ちをしている。大学卒業後は,ひきこもりがちになったが,教師をしていた友人から,不登校児の対応を依頼され,支援したことが契機となった。
以降,中学校の相談員となり,カウンセリングを改めて学んだ。スクールカウンセラーに社会福祉士がおり,ソーシャルワークを教示してもらった。
結婚後に出産し,地域との繋がりがなく,いわゆる密室育児をして,とても苦しい子育てを経験した。学童保育や広場事業を立ち上げ,子育て支援をしている方とつながっていった。
東日本大震災時は,栃木県で虐待対応の相談員をしていたが,福島県内の大学に通学していたこともあり,福島県のスクールソーシャルワーカーとなった。保健師が仮設住宅等の巡回訪問で把握した不登校児の情報提供を受け,連携し,被災児童の支援に当たった。現在は,スクールソーシャルワーカーのスーパーバイザーとして活動してる。

○「子育て支援」における動向(参考:ソーシャルワークについて)
・「地域子ども・子育て支援事業」は,13項目にあり,保健師も大きく関与している。さらに,子育て世代包括支援センターの法定化に伴い,ソーシャルワーカー,保健師,助産師が配置される。ソーシャルワーカーは,主に関係機関との連携,つなぐ役割を担うことになる。
・「子供の貧困対策に関する大綱案」においては,学校を子供の貧困対策のプラットフォームとして位置づけし,スクールソーシャルワーカーの配置拡充などが掲げられている。
・「児童福祉法等の一部改正案」においては,児童虐待の発生予防,虐待発生時の迅速・的確な対応,被虐待児童への自立支援など一連の対策の強化が盛り込まれている。
・文部科学省において,「次世代の学校指導体制の在り方について(中間まとめ)」においても,ソーシャルワークがキーポイントになっている。保健師もソーシャルワークを実践しており,子育て支援とソーシャルワークは切っても切れない関係にある。
学校の指導体制は,地域と共にある学校へ転換し,「チームとしての学校」という体制整備を図る方向にあり,今後,養護教諭と保健師が連携して,支援することが考えられる。さらに,法的な位置づけがないスクールソーシャルワーカーが学校の職員に位置づけられる。
・スクールソーシャルワークとは,問題を抱えた児童生徒に対し,置かれている環境に働きかけたり,ネットワークを活用するなど多様な支援方法を用いて,(主に学校という場において)問題解決への対応を図っていくことである。主な活動内容としては,家庭や学校,地域をつなぐ,子どもや家庭,教職員をささえる,よりよい地域社会をつくることである。
スクールソーシャルワーカーの基本的姿勢は,パートナーシップ(子供の視点で話す),子どもの可能性に焦点,子どもの最善の利益に最優先,自己決定,秘密の保持が挙げられる。子どもの課題や状態が重くなってから関わることが多く,複数の要素が複雑に絡み合っているケースが多く,学校側から見ると,困った子であると捉えられてしまう。子どもだけでなく,家庭の状況等もアセスメントし,支援計画を作成,モニタリングを行い,評価して支援体制を構築していている。
・被災地支援を通してみえてきたものとしては,平時での課題が拡大して,表面化する。
日常が破壊されるため,平時での感覚を取り戻し,多職種でチームで対応し,家族全体を支援する必要がある。
・ニーズとサービスとの関係としては,専門職の介入が必要だが,本人は望んでいないケースは,連携が必須である。連携の強化を図り,切れ目のない支援を行う必要がある。

○連携について
スクールソーシャルワーカーにとっての連携とは,校内連携(チームワーク体制の促進)や関係機関との連携・校外連携(ネットワーク体制の構築)が2本柱となる。
 自分が所属する内部の連携が80%となっており,内部での連携が上手くいっていると外部との連携もとりやすい。
■チームワークシステム・・機関・施設内部の業務遂行体制
■ネットワークシステム・・外部機関・施設との連絡協調体制
連携上・協働する上で大切なこととしては,顔の見える関係づくり,社会資源の熟知,集団守秘義務の考え方,ジレンマの克服,自分の立ち位置を確認し,「目標の共有」「対話と活動を重ねる」ことが大切である。

○切れ目のない支援(スクールソーシャルワーカーVer.)
 幼少期から保健師とつながり,生活面で遊びや楽しみを持てることが重要である。 
就学前
保健師は,就学前から親子と関わりをもっているが,発達面でのアプローチに偏りがちである。保護者の生活面や経済面にも目を向ける必要がある。スクールソーシャルワーカーに情報提供してほしい。
小中学校
スクールソーシャルワーカーは,教師支援の視点をもっているため,不登校,ひきこもりの対応,進路指導など支援をつないでいく。当事者を不在にしないことが最も重要である。
 学校の先生は,「出来ないこと」に目を向ける傾向があるが,出来ないところから計画を立てないようにし,ケースには何か強みがあるはずである。ストレングス(強み)とエンパワメント(引き出す力)の視点を持つことが重要である。
 また,「遊びの実体験」の蓄積は,バーチャルなものではなく,健全な体を使った遊びが大切である。
特に,発達障害児の場合,保護者も発達障害である方もおり,適切な遊びが出来ないこともある。遊びの空間をつなげ,遊びの実体験を積み重ねることは,発達障害児の力の発散にもつながり,自立支援の一助となる。
高校・以降
スクールソーシャルワーカーの高校での雇用が進んでいる。特に定時制高校では,高校中退を未然に防止する取り組みを行い,成果がでており,切れ目ない支援の一環となっている。
また,人間には,第3の居場所が必要であると言われており,居場所をもつことも大切である。
第1の居場所 学校,職場
第2の居場所 家庭
第3の居場所 自分がのんびりできる場所 (カフェ等でもよい)
 
○“子育て支援につながる支援者”に求められる役割とは
バイスティックの7原則
① 個別化の原則
② 意図的な感情表現の原則(自由に感情表現できるように配慮)
③ 統制された情緒的関与の原則(援助者は個人的な感情や自己満足を援助に持ち込まない)
④ 受容の原則
⑤ 非審判的態度の原則
⑥ 自己決定の原則
⑦ 秘密保持の原則

○支援者として大切なこととは
・支援者としての自律行動が必要であり,専門的技術やアセスメント能力,いつも勉強する姿勢がなければ,生身の人間には対応出来ない。
・組織の中の一員としての役割を遂行するため,交渉力やプレゼンテーション力も求められる。
・ふりかえり(省察)を行い,支援者としての「ジレンマ」を自覚をすることも大切である。
・子どもに対して,論理的思考と感性によって,関心と理解を示し,発想豊かに捉えていく必要が
ある。クールヘッド(冷静)に,心は温かく対応する。
・子どもは,ストレングス(強み)を持ち,特に,レジリエンス(修復力)する能力が高いため,これを信じて力を引き出す(エンパワメント)力を持って,関わることが重要である。
・発達段階の理解については,保健師は十分に把握しているが,定型的な発達段階からはずれると不安になりがちである。発達障害児も個々の時間軸があり発達していることを理解する。
・ケアマネジメントと行動連携(チームアプローチ)を知る。
・子ども,保護者,先生,各々のニーズを合致させ,「これからできること」を具体的に支援計画を提示する。
・特に,学校の先生は正論や思い込み(ストーリーを作ってしまう)傾向があるため,「今,ここ」に気持ちを集中させて,支援をする必要がある。

○まとめ
■地域の中で,重層的なシステムをつくるために
・重層的とは,ケースワークをしながら,システムをつくる視点を持ち,社会資源が持っている力を最大限に活用することである。
・子どもと家族は,日常の中でなんとか生活をしている。学校はよりよい方向へを考えがちであるが,福祉の視点としては,低くても現状維持,少し上がっていく程度でよいこともある。子どもと家族の主体性に着目し,日常的なつながりと連続性を創出することが重要である。転出などで途絶えやすい支援をつなぎ,連続性をもたせる支援が必要である。
・支援者の無自覚な「介入」に注意する。家族や地域がもともと持っている力(可能性・主体性)を引き出す。
・みんなでのりしろを少し出し合い(ここまでやるから,ここまでやれないかと提案する),発想力豊かにして,ちょっとだけおせっかいする。本人にとっての視点を忘れない。
・関係者が緊密な関係になると息苦しくなるので,ゆるくつながる。緊張感のない関係づくり。
・心に寄り添う傾聴だけでなく,話し合い,会話をする。
・支援者自身が気付いたことや感性を信じる。
講演会の様子
講演会の様子

関連書類

 

 

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