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令和2年度第1回専門研究会(全体)【創立60周年記念講演】

更新日:2021年01月08日

講師 藤原 佳典氏
講師 藤原 佳典氏
令和2年度第1回専門研究会(全体)【創立60周年記念講演】

日時 令和2年11月26日(木)13:30~15:30
会場 茨城県市町村会館 講堂

(演題) 「地域共生社会に向けた保健活動の展開」
(講師) 東京都健康長寿医療センター研究所
     社会参加と地域保健研究チーム
     研究部長(チームリーダー) 藤原 佳典 氏

(講演内容)
 
 〇地域共生社会とは、
・高齢者・障害者、子ども、生活困窮者、外国人などすべての人がともに社会を築いていくこと
・保健師は地域包括ケアや母子包括ケアなどを地域共生社会づくりとして保健活動の展開ができる。
 
 〇あなたの仕事の「三方よし」とは
  ・澁澤栄一は、近代経済社会の基礎を築き、晩年は福祉と教育に力を注いだ。座右の銘は「売り手良し、買い手良し、世間良し」であり、「三方よし」はすべての人にあてはまる。世の中を補いあって良くしていくというのは、福祉や健康づくりでも同じ。
  ・保健師は公的な役所という世間を代表する立場であり、「三方よし」で世間を良くしていくことができ、いろいろな世代の方や他職種との連携が必要になる。
  ・共生社会は、人口減少により担い手や受け手が減ってしまい、専門外なことは分野ごとに連携していかなければ解決できなくなってきているという背景がある。連携は単独ではできなくなってきているため相手の状況をみて戦略的に実施しなければならない。

 〇連携をするためのノウハウ
  ・3年間研究事業として実施した連携の手順と内容を事例としてまとめた『市町村保健センターの連携機能ヒント集』を土台に説明。
  ・昔(30年位前)は保健センター保健師の業務は地域づくりをしていたが、徐々に特定健診、予防接種など個別的な業務が多くなった。地域づくりとして高齢者の地域包括ケアが進んでいった。
  ・連携をすすめるためには7つと9つのステップがある。重要なことは「風をつかむこと」=世の中の動きを読むこと。自分の仕事に風を呼び込む。個別で対応していると周りが見えなくなるため、小高い丘に上がる気持ちで全体を見渡すことも大事。
  ・歴史で考えた時に、上杉謙信は物事がうまく展開するのは天地人の3つが大事であると話している。天はタイミング、地は交流の場所や居場所、人はもちろん人。天とは、「風をつかむこと」になる。
  ・フェーズ1の考え方
   *自分の仕事でもやもやしていることがあれば問題意識をもち、再認識するこ
    とから始める。共生社会を考える入口。
    例)最近訪問した時に障害児を抱えている母親に関わるがその前に民生委員
などからの情報があればと思うが民生委員高齢化になりお願いするのが
困難である。誰に頼んだらいいのかのもやもや。
   *地域包括ケアシステムは歴史に例えると籠城戦。内堀は、医療と介護の連携
の専門の専門職が最後の砦。外堀には専門職をおかなくてもカバーできる住
民(自治会・ボランティアなど)が必要。
   *保健師は外堀や内堀の全体的にみて采配をする。昔は保健センター保健師が
担っていたが、今は地域包括支援センターなどが行っている。共生社会は高
齢者だけではなく、こどもや障害者すべての年代に広めて地域包括ケアを進
化させていくこと。

 〇健康長寿について
  ・健康長寿の10か条を見直し、2017年に12か条になった。栄養・運
動・社会参加の三本柱は変わらないが追加したのが地域力。
  ・生活圏内で通いの場に行く時に賛同してくれる住民、声をかけ連れて行ってく
れる方がいるのか。健康づくりは自分だけではできなくなってきている。支え
るのが地域力。
・研究所で介護予防のプログラムを組んできたが、人の能力には7つのステージがあり、社会的役割が最高の能力である。
・通いの場は定期的な参加が効果的。ボランティアと趣味活動、これらが一体化しながら続けていくことが重要。団体活動(通いの場等)はルールや約束事がある。通うのがしんどい時には昔からの友人や近所付き合いというのも社会参加になる。

 〇通いの場・居場所・ボランティアについて 
  ・元々は体操をする集まる場所として始まったが、来年からの8期介護保険計画では多様な関係者や事業と連携して、住民主体ではあるが多様な通いの場としていくようになる。
  ・通いの場は介護保険の担当以外の部署や社会福祉協議会、民間企業など多様な
主体と連携して取り組む。無償ボランティアの他に有償ボランティアなどいわ
ゆる就労に類するものでもよい。高齢者だけでなく多世代が交流する場所など
介護予防はゆるくなってきている。共生社会に向けて連携し高齢者も地域づく
りに寄与して欲しい。
・保健師はコーディネーターの役割として関わる。地域の人たちと知り合い作りあげていく。
  ・フェーズ2の考え方
   *周囲の活動にアンテナをはり動き出すための良い機会をとらえ(風をよむ)、解決したい課題や連携先の情報収集をしてインフォーマルな仲間づくりをする。    
 *高齢者で考えると、認知症予防・フレイル予防のプログラムや場所の提案をする。基本的に運動や食生活等の生活習慣予防、社会参加になる。

<事例> 
 15年前から絵本の読み聞かせ認知症・フレイル予防を実施している。高齢者が絵本を上手に読むために体力づくりをして発声練習(オーラルフレイル予防)、記憶力をよくする(認知症予防)、地域の活動として行い(社会参加)、子どもへのボランティア(多世代共生)として社会的な役割を維持し参加し努力している。
    ボランティア活動をすることで日常の生活にメリハリができ、頭と体を鍛えている。「三方良し」により、受け入れ先も広がる。保健師は入り口として関係機関に声をかけつなげることが大切。
 
  ・次のステップとしてフォーマルな共同組織をどう作っていくか、枠組みを作りやすいのが地域共生社会で様々な団体と根拠を組みやすい。保健師は全世代を対応している。専門職が連携し地域づくりを多世代対象で通いの場や社会参加の場などの環境をつくるのが効果的。高齢者も同世代で集まるよりも同世代と一緒に若い人たちと交流したほうがQOLは高い。
  ・ソーシャルキャピタル、多世代交流を作っていくことが重要になってくる。
  ・住民の方について、あなた(個人)の一対一の関係性は脆弱だが、あなたが取り巻く関係者や関係団体はつながりあっているため、一本切れても他とつながっていることが重要でこれがソーシャルキャピタルになり信頼関係でつながっている。
  ・高齢者の生活支援や地域ケア会議には高齢者に関わる機関だけでなく、他課や他職種を入れていくことも一つ。
  ・評価をしていくことも必要(PDCAサイクルによる推進)

 〇コロナ禍での保健活動のヒント
  ・通いの場などが休止している状態の時には、活動を振り返る、情報を交換しネットワークを作る機会として再開するための準備期間とアドバイスしている。
 
※ 最後に参加者のみなさん、「3S」で乗り越えましょう
   センス(工夫)+シナジー(協働)+スマイル(明るく)

関連書類

 

 

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