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平成30年度市町村保健師研修会

更新日:2019年02月04日

国立病院機構 茨城東病院 小児科医長 竹谷 俊樹 先生
国立病院機構 茨城東病院 小児科医長 竹谷 俊樹 先生
「医療的ケア児・家族を地域で支援するために」

①報告「茨城県における医療的ケアが必要な障害児支援の現状」
 茨城県保健福祉部 障害福祉課 後藤 直子氏

・平成28年5月25日成立した障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するため の法律及び児童福祉法の一部を改正する法律で「医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう、自治体において保健・医療・福祉等の連携促進に努めるものとする」といった障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応の文言が明記された。
・平成30年度障害福祉サービス等報酬改定において、人口呼吸器等の使用や、たん吸引などの医療的ケアが必要な障害児が、必要な支援を受けられるよう、看護職員の配置を評価する加算が創設された。
・医療的ケア児とは、医学の進歩を背景として、NICU等に長期入院した後、引き続き人口呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な障害児のことをいい、全国の医療的ケア児は約1.8万人と推計されており、年々増加傾向にある。
・平成30年4月1日現在、県内小児科入院可能な9病院に、県内在住の在宅の医療的ケアを必要とする20歳未満の障害児(者)を診療報酬から算出した390人の保護者にアンケートを実施した(有効回答者126人:32.3%)。必要な医療的ケアの内容としては、経管栄養が約68%、たん吸引が約52%あった。また、医療的ケアを必要とする本人の心身の状態としては、寝返り不可約52%に対し、走ることや歩いて移動可が約10%いること、また呼びかけへの反応乏しい約42%に対し、普通の会話理解約16%いることより、寝たきりの重症心身障害児から歩ける医療的ケア児まで幅広いことが分かった。家族以外の相談者としては、病院主治医・看護師が約72%で最も多く、市町村職員3.9%、市町村保健師3.1%は低かった。利用できないサービスとしては短期入所(医療型含む)約5割以上とニーズが高い一方、全くサービスを利用していない割合は約1割あり、サービスの不足と情報が行き届いていない可能性があることが示唆された。
・課題としては、レスパイト施設の不足(県内の医療型短期入所9箇所)と、医療的ケア児を受け入れる通所事業所の不足が挙げられる。県対応しては、(1)受け入れ拡充に向けて取り組みとして、①医療型短期入所、重症心身障害児を受け入れる児童通所支援事業所の開設準備経費助成、②病院関係会議において、医療型短期入所等の事業開始の勧奨、③新に創設された福祉型強化短期入所の制度の周知、(2)医療的ケア児支援従事者研修会の実施、(3)医療的ケア児支援のための医療、福祉、保健、保育、教育等の協議の場として、「茨城県医療的ケア児支援体制協議会」を設置した。

②講演「医療型入所施設からみた医療的ケア児」
 国立病院機構 茨城東病院 小児科医長 竹谷 俊樹氏

・重症心身障害児・者の定義としては、知能指数35以下で身体障害の程度が1級もしくは2級(寝たきりもしくは座位程度)で発症年齢は18歳未満であるとされている。
・家族が抱える最大の問題は、短期入所の不足かつ偏在である(高度な医療的ケアに対応可能な医療型(短期)入所施設は県内2箇所しかなく、水戸よりも北に偏在している)。
・医療型短期入所もみじの家(東京都)は全国で1箇所しかないが、公的支援(診療報酬改定と市町村補助)が拡充の鍵である。
・人工呼吸器管理が必要な医療的ケア児の中には被虐待児のケースもあり、保健師も積極的に関ってほしい。
・医療的ケア児対策に求められる特性として1施設内で解決はできないため、連携することが重要である。また、インターネットの普及等で知識格差は縮小傾向なので、これからは孤立させない、みんなで考える時代(SDM:Shared Decision Making)ではないか。
Q1:医療の立場から、地域の行政保健師に望むことはどんなことですか?
訪問して傾聴する以外に役割はありますか?
A1:(1)切れ目ない支援、(2)就学前と卒業後、(3)生涯にわたり続く支援と計画性、(4)どこに、誰につなぐか=専門相談支援員にもかぶるところ、母親からの相談にワンストップで対応可能な相談支援、(5)地域リソースの掘り起こし:地域で不足しているもの:行政に働きかける:バリアフリー等、(6)傾聴してきたことをアクションに結びつけていく作業、(7)こころの支援等の役割を保健師に期待しています。
Q2:医療ケア児のレスパイト施設が少ないことが課題にありますが、既存の老健施設等で利用する動きはありますか?
A2:県のリストでは、医療的ケアに対応可能な施設が9箇所あり、医療型入所施設が5箇所、その他4箇所が老健施設です。老健施設がどこまで医療的ケアに対応できているかは、実態調査しないと分かりません。
Q3:医療ケア児が通院する病院はかなり限定されており、その医療機関の間では何か連携や協議がされていますか?
A3:(1)NICUを抱える3病院と医療型入所2施設間で、重症児支援従事者等研修を通じて情報共有、(2)MLを活用した空床情報共有、(3)パーソナルコミュニケーション、(4)「医療型入所5施設の医療・福祉 連携の会」企画中、(5)市町村の学校との交流・教育支援委員会・発達障害相談・絆=総合福祉センター内の障害者センターで生活介護・自立訓練事業・児童発達支援事業での診察・会議で情報共有、(6)その他「茨城県医療的ケア児支援体制協議会」や茨城県医師会「小児在宅ワーキング会議」等で現状や支援策等話し合いをしています。

③講演「医療的ケアを必要とする子どもの親の会の取り組み」
 かけはしねっと 代表 根本 希美子氏

・親の会を2016.11に立ち上げ、つながり作り、余暇支援、情報発信の3つの柱を掲げ、医療的ケア児を育てる家族を孤立させないことを目的に活動している。かけはしねっとが目指すものは、「生まれてよかった命が助かってよかったと思える地域づくり」「こどもたちが架けてくれるかけはしを広げたい」ことである。
・家庭以外の居場所(受け皿)がないことによって、子どもの発達機会の制限、家族の介護負担、母親の孤立・精神的ストレスが医療的ケア児の課題である。
・胃食道逆流により繰り返す嘔吐・微熱、頻回な吸引、SPO2モニターのアラーム音の中、不慣れな医療的ケアをしなければならず、病院から在宅に帰ってきた時は、まず保健師が関わってくれることを切に願っている。

④報告「医療的ケア児支援の取り組み」
 牛久市健康づくり推進課 大野 直子氏

・出生届を市役所に提出する際に、母子手帳と出生連絡票(妊婦健診券の最後に綴っている)を提出することになっており、その情報を元に、ファーストタッチすることもある。医療機関からの情報もあり、退院を待たずにアクションするように心がけている。
・他の課や機関との連携では、社会福祉課に手当申請や手帳交付の時にも同席したり、子ども家庭課にも必要時に報告したり、養育訪問が必要と判断したら同行訪問依頼している。サービス内容も一緒に聞いて考えるようにしている。また、発達支援センターで行う定期的なケース会議以外にも、初回利用時に同席して、他の親とつながりやすいようサポートしている。
・訪問看護の介入があるからといって、保健師の介入が必要かどうかは親が決めることで、線引きせずに積極的に関与していくべきと考えている。顔の見える関係が次の支援につながり、地域住民の安心の一助になればと思っている。
・ダウン症の保護者からの要望で、自助グループも立ち上げている。

茨城県保健福祉部 障害福祉課 後藤 直子 氏
茨城県保健福祉部 障害福祉課 後藤 直子 氏
かけはしねっと 代表 根本 希美子 氏
かけはしねっと 代表 根本 希美子 氏

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