講演会の様子
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平成30年度 土浦ブロック専門研究会
日時:平成30年9月14日(金) 13:30~16:00
会場:阿見町総合保健福祉会館
参加者数:39名
開会・あいさつ ・土浦ブロック長
・茨城県国民健康保険団体連合会 田中氏
1.講演会
演題:産前産後のメンタルヘルス ~保健師の関わり・医療機関との連携について~
講師:広尾レディース院長 宗田 聡 氏
○なぜ周産期メンタルヘルスが注目されているか
・この30年間で妊娠・分娩を取り巻く環境(働く女性の増加、高齢妊娠の増加、核家族化、少子化、雑誌やインターネットの情報の氾濫等)が劇的に変化した。
→医療の質の向上により母体の死亡率は激減したが、反面、妊産婦死因のトップは自殺である。自殺の原因の最多は、産後うつである。
産後うつは、非産褥期の一般女性と比較して高い出現率で、産後7人に1人はうつになる
と言われている。
周産期のメンタルは母親自身だけでなく、子どもや家族に大きな影響を与える。(子どもの発育発達・情緒、子ども虐待、母親がいない育児等)
○周産期うつについて
・ホルモンとは全く関係ない。環境とその人のキャラクターが要因である。
(マタニティブルーズはホルモンが関係し、自然軽快する。)
定義は決まっていないが、産後2・3週~6カ月(1年以内のイメージ)に発症。症状が多彩で見逃されると重症になりやすい。妊娠うつは初期に発症することが多く、産後にうつになる可能性が高い。また、子どもが生まれた後には、母親とほぼ同数の父親も、産後うつになることが明らかであるため、父親の健康管理も重要。
○EPDS(エディンバラ産後うつ病自己評価票)について
・簡便で一次スクリーニングとして活用する。検出率は50-70%である。日本では産後4週に使用する妥当性はある。留意点として、重症度の評価や他の精神疾患を診断するツールではない。重症のうつでは点数が低くなることもある。頻回に使用すると信頼度が低下する等である。
○2週間健診の意義
・自殺の心配がある病態のチェック
①産後のうつ病再発→問診でうつの有無を確認
②双極性障害 ③産褥精神病 →②③は、EPDSは役に立たない
○保健師・助産師の対応
・基本的な対応:プライバシーの配慮、共感と傾聴、誰でもかかる病気・休養の必要性などの病気の説明、家族への支援、関係機関と顔の見える連携
・緊急性が高いケースについて:自殺念慮が高い、いらいら感が激しい、外来治療で軽快しない、食欲低下や不眠が強く衰弱がみられる、家事・育児がほとんどできない、家族や周囲の助けがない等
・妊娠中からのフォローが重要である。周りが早く気がついて対応していく。
○参考文献
・これからはじめる周産期メンタルヘルス(南山堂)
・EPDS活用ガイド(南山堂)
・周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド(日本周産期メンタルヘルス学会)
・産後うつ予防啓発リーフレット(文京学院大学監修)
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