茨城県市町村保健市連絡協議会 事業報告 tag:https://www.iba-hokenshi.jp/ 茨城県市町村保健市連絡協議会 事業報告 2026-09-04 令和8年度水戸・日立ブロック合同専門研究会 tag:https://www.iba-hokenshi.jp/, 2026-09-04:208 2026-09-04 ■研修名  茨城県市町村保健師連絡協議会 水戸・日立ブロック合同専門研究会 ■開催日  令和8年7月27日(月)14時~16時20分 ■開催場所 ザ・ヒロサワ・シティ会館 集会室1、2号 ■演題   「面接技法とメンタルヘルス~相談支援の技術と自分を大切にする方法」 ■講師   ユタリラ相談室 公認心理師 社会福祉士 精神保健福祉士       窪 暁子 氏 、 前田 文子 氏 ■参加者  茨城県市町村保健師連絡協議会会員等(保健師)35名         (市町村保健師25名 県保健所保健師3名 事務局7名) ■研修内容 【研修の約束事】 「楽しい」「おもしろい」と感じているとき、脳内ではドーパミンが分泌され、集中力が高まり記憶が定着するため、リラックスして「楽しく学ぶ」ことこそが、最も効率が良く、効果の高い学習方法である。研修中に講師から発言を求められることがあるが、発言したくない場合は目を伏せ目を合わさず、手を×にして、参加者自身の体調や気持ちに合わせ「No」の自己表現を遠慮なく表現していただきたい。 【対人援助の基本】 バイスティックの7原則 ①個別化        パターン化せず、利用者一人ひとりの生活の個別性を理解する ②意図的な感情表出   利用者の感情を受けとめ、自由な感情表出を促すように関わる ③統制された情緒的関与 援助者は冷静に援助者自身の感情をコントロールする ④受容         利用者のあるがままを受け入れる ⑤非審判的態度     援助者はあくまでもサポートする立場である ⑥自己決定       利用者の自己判断を促し、利用者の自己決定を尊重する ⑦秘密保持       利用者に関する情報を不必要に漏らさない    【具体的な面接技法】 ①観察をする(される) 支援者が相談者を観察しているのと同様に、相談者からも観察されていることを自覚し、非言語的表現にも気を配る。カウンセリングは50分枠で実施することが多いが、支援者の服装、姿勢(足組、腕組、体の揺らぎは不安を与える、貧乏ゆすり、力みすぎ)、声の大きさなど支援者が意識するべきことは多くある。支援者はいすの中央に座り、いったん肩を挙げてすとんとおろし体の軸はまっすぐで肩の力は入れないような姿勢の維持が大切なので、フィジカル面も大切になる。また、香りはメッセージ性が強く、思いのほか相談者の無意識の中にはいってしまうこともあるので、香りは無臭をめざす。 (デモンストレーション見学) 特別養護老人ホームでの高齢者女性への排泄介助「お手洗いに行かれませんか」では通じなかった。相談者の文化そのものである方言、どのような言葉を使っているかに着目することが必要 声の大きさ:大きすぎる声が苦手という方が一定数いる 威嚇のサイン、過去のつらい経験や怒鳴り声を思い出すこともある 小さい声は気を使われすぎている印象を抱くこともある ②面接の環境設定 訪問のメリット :生活状況などの情報が得られる 訪問のデメリット:相談者との心的距離が近すぎ、適切な距離感での面接が難しい 本格的な悩み相談は、面接場所を用意しゆっくりと話せる環境を整える パーソナルスペース(両手をひろげた範囲)に入ってよいのは家族と恋人 他者がパーソナルスペース内に入ると緊張感は増す。テーブルを挟んで先に支援者が座り「お好きなところにどうぞ」と座る位置を相談者に確認しながらすすめる。 相談開始前に「〇時までお話が伺えます」と時間設定し「聞いてもらえなかった」という思いが生じないように配慮する。時としてこの思いがねじれを生じ、支援者への恨みにつながることがあることを注意する。 ③傾聴をする 視線は、相談者の胸の上あたりで相談者より目線を上にせず、時折、口元をみて大事なときに視線を合わせる。 序盤:開始10分は話を聞くことに徹する。「聞いてくれている印象」を持ちやすい ニュアンスが変わらないように、相談者の言葉をそのまま繰り返す 中盤:相談者の言葉を言い換える。適切な言い換えは「聞いている」サインになる ニーズを焦点化できることで短時間での信頼関係の構築につなげる 終盤:ニーズを要約し、相談者に確認しながら改善に向けての提案や展開につなげる ④質問をする 開かれた質問(はい、いいえ、単語では答えられない質問)の効果 →相談者に考えを深めてもらい、話が広がる 閉じられた質問(はい、いいえ、数語で答えられる質問)の効果 →物事をはっきりさせる 開かれた質問ばかりだと、相談者は考えることが増えるため疲れてしまう 適宜ふたつの質問を使い、面接をすすめることで話が深まる ⑤沈黙への対処 沈黙は、相談者が考えを深めるきっかけにもなる 支援者は沈黙の意味を考えながら待つ 支援者が待っていると、多くの場合は相談者から話し出す 相談拒否の沈黙の場合「話したい気持ちでないのなら、別の日にしましょう」などと支援者が落ち着いて伝え、次の機会もあることを伝える ⑥問題対応と情報提供とリファー 自部署でできる対応とそれ以外のことを相談者にわかりやすく伝える パンフレットなど視覚情報を渡すと効果的になる 相談者が危機的な場合は、次の相談窓口への同行も視野に入れる 自殺対策として「死にたいですか」とたじろがず希死念慮を聞くことで、相談者の揺らぎはとまり、リスクがわかる。また、泣いてる方は泣き止み、本気で対応しようとしていることが伝わり、リスクを自体を下げる。 【模擬面接視聴】 悪い面接:相談者の話を遮る、話の途中での助言、話のすり替え、不適切なあいづち 良い面接:挨拶、自己紹介、呼び名や面接時間の確認、秘密保持の約束をしてから面接 を開始することが基本となる 「話せる範囲で、無理のない範囲で話してください」のように相談者のペース で話せるように声かけし、うなずき、あいづちしながら受けとめる 【傾聴練習実践】 会場内で2人組になり相談者と支援者を交互に経験(無言30秒、悪い面接、良い面接) 悪い面接3分 感想①相談者役:相談しにきてはいけなかったと思ってしまった 感想②支援者役:あえて話を遮り被せたが、主導権を握れる感じがして楽しかった 良い面接3分 感想④相談者役:相談しながら自分自身の考えがまとまっていった 感想⑤支援者役:提案しなければと思ってしまうが、話を聞き続ける大変さを感じた 講師感想:悪い面接では、全員が各々に話し、視線も合わず態度も悪い様子を演じきってもらえていた。良い面接では、会場内の声量が半減し、相談者と支援者が明確にみてとれた。実践を通し、支援者側は姿勢や視線、空気を意識しながら、体全体を使いながら聞くため、我慢が必要であることを体感してもらえればよいと感じた。 【援助者自身のメンタルヘルス】  人を支えるためには支援者自身の心身の健康、メンタルヘルスが重要となる。なぜ自分の健康を守らなければいけないのか、メンタルヘルスを守るテクニックを学びたい。 まず、知識としてどんなことがストレスになるか。 職場では、人間関係、異動、転職、昇進、パワハラ、セクハラ、仕事量の変化等 家庭では、家庭環境、友人関係、金銭関係、病気、転居等 しかし、ストレス=悪者ではなく、ストレスが全くないという状況は人間にはないので適度なストレス、人間ひとつふたつのストレスは常に持っていて、それが人間を成長させるとも言われている。心の筋トレになっているととらえてよい。しかし、ストレスが重なると心身にサインがでてくる。 気分が憂鬱、疲れているのに眠れない、寝ても疲れがとれない、イライラする、落ち着かない、死にたい気持ちになる等。 男性は心のサインがでず、体に食欲低下、体がだるい、疲れやすい、肩こり、頭痛、動悸、息切れ、胃の不快感、便秘、下痢、性欲低下、めまい、口が渇く等。 ハードな仕事をしていると思うため「ストレス点数から、あなたのストレス度をチェック」を用い、ストレスチェックをしていただきたい。きょうまでの一年間で体験した出来事について該当するものに〇をつけ、〇がついたところを足しあわせて総合点数を出していただきたい。考え込むと点数をつけにくいため、直感的に〇をつけていただきたい。 チェックしているとこれがストレスなのかと気づくこともあると思う。結婚、妊娠、収入が増える等のお祝い事もストレスになっている。変化が全てストレスになる。 男女別チェック表もあり、配偶者の死は点数が高いが、男性の場合は80点を超えるが、女性の場合は70点程のストレスであり男性と女性でストレス度合いが異なる。 体験ありの合計点数260点以上は黄色信号でメンタルヘルスに危険信号がでやすい状況。300点以上は赤信号で相当な確率で体を壊すことがある。いまの状況が続くと大変危険であることをわかっていただきたいのと、いまの自分の状況を知っておくことがとても大切。 状況を知ったうえで「自分の生活を豊かにする方法について」を用い、自分自身をスマートフォンの充電にたとえ、①の部分に、自分はいまエネルギーが何%残っているか感覚的に想像して一本の線を引いていただきたい。 引きこもりの児は10%未満、不登校の児は30%に線を引くことが多い。 不登校未満の児は15%未満でなんとか毎日学校へ行っている事例もあった。 充電が低いことが悪いわけではなく、人間の充電は疲れれば減る、暑ければ減る、嫌なことがあれば減る。スマートフォンも充電するように、自宅でお風呂に入る、お酒を飲む、ペットと遊ぶ、とにかく寝る等でリラックスし充電し元気になって、翌朝仕事に向かい仕事をしたら減る、この一連を繰り返すことが当たり前のことであるが、これを上手にやっていくことが必要。自分の充電を増やしてくれるものは何か②の部分に記入していただきたい。書くことで頭に刻み込まれ自分に残り、自分の充電を増やせるものとの認識につながる。 心と体はつながっているため嫌なことがあったときに忘れようとしてもなかなか消えないこともある。その場合、体にアプローチすることも方法。様々なやり方であげていく。 呼吸法…「鼻から3秒吸って、口から6秒吐く」を3回 呼吸に集中すると少し気持ちが落ち着くこともある 漸進的筋弛緩法…強制的に力を入れ緊張させ、一気に力を抜き緊張をほぐす      腕の重さを感じ血が通い始めた感覚をもつ、就寝前の実施は良眠につながる つぎに「幸福度チェック表」を用い、いまここで感じている幸福度を考え込みすぎずに直感で記入していただきたい。チェック表の4、5、6に該当した部分からひとつ取り組む領域を選び「幸福度改善シート」を用い、目標と行動計画をたてる。計画をたてたら「鉄は熱いうちに打て」で2週間以内を期限として計画を覚えているときに行動する。 目標や計画を発表し他者と共有することで認知行動療法を行うこともできるが本日は時間の都合で省略する。 様々な予防をしていてもこころの病になる場合もある。力がないときは視野が狭くなり重要な決定はできないため、休むこと、休んで力をためること。ゼロからの回復は難しいため、自分自身がゼロになる前に医療機関や相談機関につながること。休めないと思い込んでいる場合もあるため、まずは周囲の人に相談することが必要。自分自身に余裕がないと他者の相談に乗ることは難しいため、人と話す、体を動かす等自分なりの方法でまずは自分自身が健康になっていただきたい。 質問①流産死産等の相談では、自分自身も涙がでそうになり感情コントロールが難しい →悲惨な体験を聞くこともあるため、悲しみにひきずられそうになるが「ひきずられない」という意識を持ちながら「泣く」ことは感情を巻き込まれてしまっていることを自覚しながら面接する。支援者も泣いてしまうとそこで相談は止まってしまう。「悲しい思いをさせてしまった」と相談者に印象をもたせてしまう。  実際のカウンセリングでは3人にひとりは1時間泣き続ける事例もあり、カウンセラーは涙に対する耐性や慣れはある。保健師が相談を受け自然に涙が出たときは、相談者を超える程の涙は控えるべきだが、自然に出る涙を無理に止めようとしなくてもよい。 質問②クレーム対応後の自分自身の気持ちの切り替えについて →理不尽すぎる対応、一方的にクレーム言いたい人、怒りたくて怒っている人もいるため、不満を言い合える仲間にこぼす。同じ職場だからこそ話せない場合は、同期や別職種の友人に話す。仕事をひきずらず、仕事以外の楽しみや癒しをもっておくと、いつのまにか忘れる、嫌な思いが薄れるようになる。 ほかの質問はメールで受付とする。 令和8年度専門部会【Zoom研修】 tag:https://www.iba-hokenshi.jp/, 2026-07-23:205 2026-07-23 令和8年度専門部会【ZOOM研修】 事業報告 日時:令和8年7月10日(金)14時~15時30分 講演内容:「日本の性教育最前線~プレコン・包括的性教育・生命(いのち)の安全教育・ユースクリニック!」 講師:埼玉医科大学    医療人育成支援センター・地域医学推進センター/産婦人科/医学教育センター    助教 高橋 幸子 氏 講師の趣味、特技は性教育。性教育をしたくて産婦人科医になった。大学6年生の時に、性感染症になると不妊につながることを知り、それを皆さんにもお知らせしたいと思った。 〇SRHRとは 性と生殖に関する健康と権利。将来、子ども生みたいか、育てたいかどうかは、それぞれのカップルに決める権利がある。 人工妊娠中絶の内服薬が処方可能となったが、現在は医師や薬剤師の面前で内服する必要があり、価格も7000円くらいと高い。自宅に1つ保管して、必要となった場合に内服するというところまではいっていないが、日本でも一つステップが上がった。 〇子どもたちの問いに答える性教育を 以前実施した講義では、小学6年生から「避妊用具とは何か?」「アフターピルとは何か?」という質問が上がったが、講義の中では、小学6年生全体へ向けて答えることができなかった。 小学生は知りたいことを意欲的に聞いてくれるが、中高生は来ない。性に関する相談先については、「相談しない」が最多。中学校や高校ではプチユースクリニックを開く。川越市では公立中学校で出張ユースクリニックを実施。月経カップやタンポン、コンドームなど実物を見たり触ったりする。知りたいことを、堂々と知る場所を提供することが大切。 〇8つのキーコンセプト ①人間関係 ②価値観・人権・文化・セクシャリティ ③ジェンダーの理解 ④暴力と安全 ⑤健康とウェルビーイング(幸福)のためのスキル ⑥人間のからだと発達 ⑦セクシュアリティと性的行動 ⑧性と生殖に関する健康 8つのキーコンセプトを年齢に分けてではなく、8つのコンセプトをまとめて年齢に応じて段階的に伝える。多職種連携が必要だが、保健師は性教育のメインの存在。まるっとまなブックでは別冊があり、条件に達していれば教えてもいい性教育内容となっている。 令和8年度専門研究会(全体) tag:https://www.iba-hokenshi.jp/, 2026-06-26:204 2026-06-26 令和8年度茨城県市町村保健師連絡協議会 専門研究会(全体) 事業報告 講演 「2040年を見据えた保健活動のあり方・保健師の役割と課題」 講師 自治医科大学看護学部 教授 春山 早苗氏   日時:令和8年5月22日(金)14:25~ 会場:茨城県市町村会館 講堂 講演概要 2040年は、65歳以上人口が総人口の35%以上を超え、3人に1人が65歳以上の高齢者になる。日本の総人口は減少しつつある中で、高齢化率がピークを迎え、少子化と相まって働き手の中心となる生産年齢人口が減少し、人口構造の変化が問題とされている。人口構造の変化等が影響する健康格差や住民の健康ニーズの変化及び保健医療福祉介護資源の課題を想定し、地域における保健師活動の維持・強化に取り組んでいく必要がある。 令和8年5月15日に保健師活動指針が13年ぶりに改正された。これまでの保健活動指針の経緯・背景を振り返りながら、2040年を見据えた保健活動のあり方とこれからの市町村保健師の役割と課題について講演された。 講演内容 1.保健師活動指針策定の経緯と目的 2.「2040年を見据えた保健師活動のあり方に関する検討会」   立ち上げの経緯と令和8年保健師活動指針改正 3.これからの健康課題と保健活動 4.これからの自治体保健師活動のあり方と課題~市町村保健師に焦点を当てて~ 1.「保健師活動指針」策定の経緯と目的 (資料P3~7) 1.平成10年(1998年)「地域における保健婦及び保健士の保健活動について」 ◇(平成10年4月10日健医発第653号 厚生省保健医療局長通知) ・地域保健対策の主要な担い手である保健婦及び保健士の保健活動の在り方  住民への直接的な保健サービスの提供に重点が充てられてきたが、今後は加えて総合的な保健関連施策の展開に積極的に関わる必要があると、保健婦の保健活動の充実強化   平成10年(1998年)「地域における保健婦及び保健士の保健活動について」 ◇(平成10年4月10日健医地発第33号 厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課長通知) 平成10年(1998年)「地域における保健婦及び保健士の保健活動について」 ◇(平成10年4月10日健医地発第34号 厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課保健指導官発) 【背景】 ・平成7年(1995年) 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」制定 ・平成9年(1997年) 「介護保険法」制定(平成12年全面施行)                ※市町村保健師の増員が進む ・平成12年(2000年) 第3次国民健康づくり対策(健康日本21)開始                 ゴールドプラン21策定、健やか親子21策定 ・平成13年(2001年) 保健師助産師看護師法改正 保健師に名称変更                ※平成13年~18年地方交付税措置による保健師増員 (資料P8~10) 2.平成15年(2003年)「地域における保健婦及び保健師の保健活動について」 ◇(平成15年10月10日健発第1010003号 厚生労働省健康局長通知) ・地域保健対策の主要な担い手である保健師の保健活動の在り方  住民への直接的な保健サービスの提供及び保健、医療、福祉等のサービスの総合的な調整に重点が充てられてきたが、今後は加えて、保健活動を効果的に展開するため、地域保健関連施策の企画、立案、実施及び評価(PDCA)を行うとともに、保健活動を医療、福祉等との連携、強化の下に実施、総合的な健康施策に関わることが必要。  ・保健師の現任教育 研修、自己啓発の奨励、地域保健対策に係る部門以外への人事異動 平成15年(2003年)「地域における保健婦及び保健師の保健活動について」 ◇(平成15年10月10日健総発第1010001号 厚生労働省健康局総務課長通知) 平成15年(2003年)「地域における保健婦及び保健師の保健活動について」 ◇(平成15年10月10日事務連絡 厚生労働省健康局総務課保健指導官通知) ・保健師は、所属する地方公共団体の行政職員としての職責を担うだけでなく、専門技術職員として相互に連携を図り、また他職種の職員、住民等と連携及び協働して保健活動を行うことが重要。 【背景】 ・平成14年(2002年) 「健康増進法」制定(平成15年施行) ・平成16年(2004年) 「発達障害者支援法」制定(平成18年施行) ・平成17年(2005年) 「障害者自立支援法」制定(平成18年施行)                 「高齢者虐待防止法」制定(平成18年施行) ・平成18年(2006年) 「自殺対策基本法」制定(平成18年施行) ・平成19年(2007年) こんにちは赤ちゃん事業開始 ・平成20年(2008年) 特定保健・特定保健指導開始                 ※地方交付税措置による保健師増員 ・平成23年(2011年) 自殺・うつ病予防対策                 ※地方交付税措置による保健師増員                 東日本大震災 (資料P11~14) 3.平成25年(2013年)「地域における保健師の保健活動について」 ◇(平成25年4月19日健発0419第1号 厚生労働省健康局長通知)    ※健康局長通知、課長通知、保健指導官通知が健康局長通知へ一本化 ・地域保健対策の主要な担い手である保健師の保健活動の在り方  住民への直接的な保健サービスの提供及び保健、医療、福祉等のサービスの総合的な調整に重点が充てられてきたが、今後は加えて、持続可能でかつ地域特性をいかした健康なまちづくり、災害対策等を推進することが必要。 ・介護保険法改正による地域包括支援センターの設置等地域包括ケアシステムの推進 ・特定健康診査・保健指導、がん対策、自殺対策、肝炎対策、虐待防止対策に関する法整備など保健師活動をめぐる状況は大きく変化。 ・ソーシャルキャピタルを活用した自助及び共助も支援の推進 ・健康日本21(二次)、重症化予防の推進 (資料P13)   保健師の保健活動の基本的な方向性(10項目) ■地域診断に基づくPDCAサイクルの実施 ■個別課題から地域課題への視点及び活動の展開 ■予防的介入の重視 ■地区活動に立脚した活動の強化 ■地区担当制の推進 ■地域特性に応じた健康なまちづくりの推進 ■部署横断的な保健活動の連携及び協働 ■地域のケアシステムの構築 ■各種保健医療福祉計画の策定及び実施 ■人材育成 【背景】 ・令和4年度 「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」の改正 ・令和6年度 「健康日本21(第三次)」の推進  ビジョン 「すべての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」  重点   「誰一人取り残さない健康づくり」「より実効性を持つ取組の推進」 ・令和5年のかかりつけ医機能が発揮される制度整備、令和6年度からの第8次医療計画 ・2040年を見据えると、人口構造や社会環境等の変化により健康課題が複雑化・多様化し、自治体間の健康格差も拡がっていくことが予想 (資料P15~26) 4.令和8年(2026年)「地域における保健師の保健活動について」改正 ◇(令和8年5月15日健生発0515第1号 厚生労働省健康・生活衛生局長通知)    ・地域保健対策の主要な担い手である保健師の保健活動の在り方  ◎今後の人口構成の変化を踏まえ、新たな地域医療構想の策定などの医療政策や地域共生社会の実現による一体的・包括的な支援対策による対策の推進 ➞保健分野の他、医療・福祉分野において保健師の役割が一層求められる。  新たな地域医療構想に関するとりまとめ~市町村の役割~  市町村は、病院開設者の立場、介護保険事業の主体としての立場、行政の中で住民に最も近い立場等、様々な観点を踏まえながら、地域医療構想の策定や推進に協力する。  介護保険事業(支援)計画との整合性の確保を図りつつ、都道県と連携しながら、介護に係る課題について地域医療構想調整会議において共有する。 隣接する自治体や構想区域内の他の市町村と連携しながら、医療連携体制の構築や医療と介護の連携を進める。 ◎健康危機管理対応では、住民の健康被害の最小化に向けた平時からの体制整備の強化が求められている。 ◎健康日本21(第三次)告示(令和5年5月告示、令和6年6月適用)  健康日本21(第三次)  誰一人取り残さない健康づくり・・集団や個人の特性を踏まえた健康づくり より実効性をもつ取組・・アクションプランの提示、ICTの利活用、個人の情報の見える化 2.「2040年を見据えた保健師活動のあり方に関する検討会」立ち上げの経緯と 令和8年保健師活動指針改正 第一 保健師の保健活動の基本的な方向性(10項目) ・・・13年経っても10項目は変更なしではあるが、地域の実情に応じて保健活動を進める      ↓ 第二 活動部署に応じた保健活動の推進    地域の実情は様々であるため高齢人口と生産年齢人口の人口変化率で分けて考える    (A類型市町村)高齢人口は増えるが、生産年齢人口は減少する自治体    (B類型市町村)高齢人口も、生産年齢人口も減少する自治体     ※2040~2050年は、A類型市町村が減少し、B類型市町村が増える (資料P27~38) ①保健活動の組織横断的な総合調整及び支援 推進体制の整備 ・自治体の地域保健施策の企画、調整及び評価を行えるような体制整備 人口構造や求められるサービス変化等の将来像と保健師や他職種の職員数やソーシャルキャピタルなどの資源を見極める。 ・各種保健医療福祉計画の策定及び政策の企画・立案に参画し、事業計画の策定、  企画立案、予算の確保、事業の評価等(PDCA)を行う。 ・各種保健医療福祉計画の策定にとどまらず、防災計画、まちづくり計画等の策定に参画し、施先に結びつく活動を行う。 ・保健活動の質の確保と効率的な遂行のため、業務の簡素化やICTの活用を行う。 ・市町村の保健事業を合同で実施するなどの取組を検討する場を設ける等、必要に応じて市町村の枠を超えた広域的な連携を推進。 ・地区担当制と業務分担制どちらを採用しているに関わらず、各分野の保健師等が分野横断的に世帯や地域に関わるための情報共有の場の設置や設置に係る支援を行う。 ・関係機関、部署、県との連携  分野横断的に世帯や地域に関わるための関係者間との情報共有の場を設置し、  保健衛生部門、国民健康保険部門、介護保険部門及び生活保護部門においては、各部門が保有するデータ等を含め、密接な連携を図る。 ②人材確保の推進 ・退職後の保健師や非常勤の保健師を含む多様な採用・雇用形態を活用。 ・保健師等の学生実習を効果的にするとともに、インターンシップ等を通じて自治体の  魅力や保健活動の意義を発信 ③技術的及び専門的側面等からの人材育成の推進 ・各自治体の人材育成方針に基づき、人材育成計画を策定 ・OJT、職場外研修、ジョブローテーション、県と市町村間の人事交流等を盛り込んだ保健師の現任教育体系の構築。 ・事務職との連携を図るとともに、専門的業務にとどまらない行政能力を育成する体制を整備。マネジメント能力と実践能力の双方を備えた保健師が求められる、B類型市町村に対しては、早期からのマネジメント能力を育成する体制の構築  新設 第三 保健師のマネジメント 統括保健師等 1)分野横断的に保健師全体をマネジメントすることができるように、自治体に置いて統括保健師を事務分掌へ明記し、一定の権限を有する職位・役職に充てる。 2)統括保健師の役割は、中期的な視点を持ち、①保健師の保健活動の総合調整 ②人材確保の推進 ③人材育成の推進 ④健康危機管理体制の整備等、中核的な役割を果たす。 (資料P39) 管理能力育成のために ~管理期になる前に~  管理能力を育成するためにOJTやジョブローテーションと経験で管理能力を育成していく。 経験の分類には、経験的分類、関係的分類、実践的経験の3種類があるが、最近では自然に職場で経験できることが少なくなっている。自己学習の他、OFF-JT(重層的研修・クロスファンクショナルチームによる研修、フィードバック)で経験することもできる。   3.これからの健康課題と保健活動 4.これからの自治体保健師活動のあり方と課題~市町村保健師に焦点を当てて~ (資P41)  総人口は、前年より50万人ほど減少しており、18年連続で自然減少している。減少幅は拡大しており、15歳未満の年少人口も減少している。出生数については、77万人まで低下しており、少子化に歯止めがかからない。若者や女性重視に、国民全体へも将来世代へ継承していく責任について共有していく必要がある。 (資料P65~79)   【2040年を見据えた保健師活動のあり方とは/これからの保健師活動の課題】 ・保健師人材の確保・人材育成 ・保健師活動の効率化(ICTの活用) ・保健師のマネジメント力、PDCA、データの活用 ・分野横断的に必要に応じての他市町、保健所、他部門、関係機関等との連携・協働 【まとめ】 1.自治体の人口動態に応じた「2つの類型化」と戦略 「A類型」高齢人口は増加するが生産年齢人口は減少。増大する高齢者のニーズに対し、いかに効率的・効果的に介入するか課題。 「B類型」高齢人口・生産年齢人口ともに減少。保健師そのものの確保が難しくなるため、業務の絞り込みや広域連携が必須となる。 2.データ活用のための体制づくりと保健師活動の効率化(ICTの活用) 健康格差が生じやすい地区やハイリスク層をデータに基づいてPDCAサイクルでアプローチするなど、ICTを活用した効率化が求められている。 3.都道府県と市町村の「重層的な広域連携」 人材確保・人材育成、広域的な保健師派遣、広域市町村間での連携・協働 4.保健師のマネジメント力 個別の課題を自治体の各種行政計画に反映させるための政策立案、マネジメント力が求めれている。 2040年には、すべての住民に等しく手厚い支援を届けるための人的資源が不足する。そのため、新しい指針では、データとICTによる業務の優先順位付け・重点化を進め、他職種や民間との共同も必須とする保健師活動が求められている。 令和7年度市町村保健師研修会 tag:https://www.iba-hokenshi.jp/, 2026-04-01:201 2026-04-01 令和7年度市町村保健師研修会【ZOOM研修】事業報告 日時:令和8年1月23日(金)13時30分~15時30分 テーマ:5歳児健診について 演題1:「5歳児健診について~茨城県少子化対策課より~」 講師:茨城県福祉部子ども政策局少子化対策課 主任 江戸 美穂 氏 【5歳児の国の方針について~市町村における今後の対応に向けて~】 ■乳幼児健診に係る閣議決定事項等について ・こども未来戦略方針(令和5年6月) 今後3年間の集中的な取り組みとして「妊娠期から切れ目ない支援の拡充」内に,産後ケア事業の実施体制の強化を行うことと合わせて「乳幼児健診等を推進する」とある。 ・こどもまんなか実行計画2025(令和7年6月) ライフステージ別の重要事項として,「こどもの誕生前から乳幼児期まで」内に,乳幼児健診の推進が続けられ, 1ヶ月時及び5歳児の健康診査の実施に係る支援を進め,全国展開を目指すということが決まっている。 ■母子保健法第13条の任意健診。他の健診は地方交付税措置であるのに対し,5歳児健診は国庫補助が受けられる。 ■5歳児健診の概要 ・目的,実施担当者,対象者,項目等について ・医師の診察が求められている ■国が出している国庫補助について ・実施主体:市町村 ・補助率:国 1/2 市町村1/2 ・補助基準額:5,000円/人 ■乳幼児健康診査実施支援事業 ・市町村事業として活用可能な補助あり ①健診医や多職種連携のための専門職等の確保のための派遣費用等の補助  1市町村あたり 884千円 ②各健診の運営や基礎的な事項に関する研修,5歳児健診特化のフォローアップ体制の 研修費用  1市町村あたり293千円 ■国庫補助の申請状況(最新の国のまとめ) ・令和6年度 3自治体/茨城県 ・全国的にみても13% ※令和7年度 茨城県内,9市町村が5歳児健診を実施 ■5歳児健診に関する課題(令和6年度こども家庭庁調べ) ・小児科医等の健診医,医師以外の専門職の確保が困難 ・紹介先医療機関,紹介先の療育のキャパシティがない ・地域のフォローアップ体制が整っていない ■自治体における5歳児健診に関する課題と対応 ①健診医等の不足により自治体内の全5歳児を対象とした健診体制が組めない ・二段階方式での実施が可能 ・医師等専門職の健診や健診医派遣調整のための支援事業を創設 ②発達面の評価を主目的とする5歳児健診の実施方法がわからない ・令和6年度に保育園との連携等に関する事例集を作成・周知 ・有益な情報を含むポータルサイト公開 ③要フォローとされたこどものフォローアップ体制の構築が課題 ・関係省庁と連携して行えるよう通知している ■二段階方式及びモデル実施について ・令和7年度8月14日こども家庭庁成育局母子保健課通「令和7年度(令和6年度からの繰越分)母子保健衛生費国庫補助金に係るQ&A」問3-1,問3-2に詳細掲載されている ■5歳児健診の具体的な実施方法等について(下記参照) ・5歳児健康診査マニュアル ・5歳児健診ポータルサイト ・茨城県 母子保健センターで5歳児健診に係る情報交換会(令和8年1月29日)を開催  令和8年度実施計画について市町村間での情報交換 演題2:「5歳児健診の立ち上げから実施について~鉾田市の取り組み~」 講師:鉾田市子ども家庭課 技査 堀田 いづみ 氏 ■鉾田市の乳幼児健診 ・年に1回は保護者と会えるように設定している  乳幼児健診(おおむね4か月頃),1歳6か月児健診,2歳児歯科健診,3歳児健診,5歳児健診 ・医療機関の協力について 病院2か所,診療所13か所中6か所 歯科16か所中9か所 ■5歳児健診の立ち上げ~健診に期待されること ・県から5歳児健診のモデル事業に補助金交付に関する通知があり,手を挙げたことがきっかけである。当時の健康増進課母子保健担当が立ち上げた。平成28年7月から約2年間モデル事業として実施。平成30年4月から市の単独事業として事業継続。令和6年4月からは子ども家庭課で補助金交付を受け継続しており,今年度で10年目を迎える。 ・当時の課題や発達に課題のあるまま就学を迎えない,子育て不安軽減のために5歳児健診のモデル事業の話は効果があると感じられた。 ・こどもたちを観察する機会や保護者と話をする機会ができれば,こどもの特性に応じた関わりや環境整備ができ,安心して就学を迎える流れができると期待された。 ■健診開始するまでの流れ,検討事項 ・対象児の所属園に普段の様子を聴き取り,健診の時との違いから発達課題を見出す ・初めての健診のため,健診の必要性を組み込んだ案内文の通知 ・発達課題を見えてくるための問診票の作成 ・健診当日の行程,スタッフの人数・配置,発達課題を誰が伝えると効果的か ⇒(課題)  ・診察をして発達の課題を伝えるのは医師,発達の特性を見極めるのは心理師,こどもたちに課題を出すのは保育士がいいとなったが,常勤ではない職員確保をどうするか ■各関係機関に協力依頼 ・幼稚園,保育所:教育委員会や子ども家庭課,所属園への説明 ・案内文,問診票:行方市に聴取,鳥取県マニュアル参考,心理師に相談 ・心理師確保:健診等に協力いただいている心理師に直接相談 ・医師確保:医師会長に相談後,健診協力していただいている小児科に直接相談 ■対象者,方法,回数,事前準備,健診当日の行程,役割分担等具体的に決定 ・問診票には,健診の様子を所属園や教育委員会に情報提供しても良いか,保護者の同意欄を設けている。 ■5歳児健診を始めて顕在化したもの ・時間が必要(観察項目が多い,進行の停滞,児が飽きて集中力低下) ・集中力低下もあるのか,気になる児が増加 ■コロナ禍の実施方法 ・令和2年度のみ所属園巡回方式で5歳児相談という形で実施。保護者が見ていないため,結果に関して問い合わせが多数あった。 ・令和3年度は短時間で行えるよう課題を絞り,集団形式に戻した。 ■行動観察時のチェックリスト ・1グループ,A4用紙1枚に収まるように準備し各スタッフに渡す ■診察時記入用紙 ・保健師が使用する。児1人に対し1枚準備。 ・保護者にも感想を聞き,やり取りを記入。 ・受診,個別相談,園での様子の確認なのか等保護者と一緒に今後の方針を決めている ■健診の成果 ・資料参照 ・保護者がどう捉えたかスタッフが直接確認できて,今後のアプローチを考えられる ・健診後に心配事がでてきた保護者が相談することが増えた ■課題 ・資料参照 ・保護者としては,手塩にかけて育てたこどもを否定された気持ちになり,良い気持ちはしない。自分の子育てを否定された・責められたように感じることもあると思う。 ・保護者に寄り添うためにどうすればよいか,支援者側も考える ・3歳児健診までに支援者側が気づいたことがあれば,保護者に伝えておいた方が良いのではというところに行きつき,一昨年あたりから所属園からの聴き取りをするようにしている ■令和6年度受診結果とフォローについて ・資料参照 ・精神面)要観察44.2%,集中力がない,指示行動できない,聞いていない,椅子に座っているときに足をばたつかせ落ち着きがない等 ・フォロー:診察時に受診を勧める,別日に心理相談をする,ことばの教室や福祉サービスの案内,所属園や保護者に連絡する等 ・健診結果は,所属園にも伝えている。健診後に何かサービスにつながらなくても,所属園を通じて担任から保護者に聴き取りすることもあるため,所属園と連携している。 ・保護者の声:ことばの教室を勧めた後,教室に通ったことでことばが聞き取りやすくなった,あの時に言ってもらえて良かった。 ・担当者として:保護者の子育ての困り感が少しでも軽減できて,こどもとの関わりが良くなれば良いと考える。健診時,身体所見は目に見えるためフォローにつながりやすいが,精神所見は目に見えないものが多く,保護者が納得しないとフォローがしにくい。保護者にこういうところに困っていないかという聞き方をすると,保護者が打ち明けてくれることもあるため,その時にフォローができる体制づくりをすることが担当としてできること。 ・健診で困り感を抽出するため,1歳6か月児健診以降は公認心理師に当日相談を依頼している。また,園の先生方が日々の支援に困らないように,公認心理師による療育講演会を実施している。 演題3:「5歳児健診の立ち上げから実施について~阿見町の取り組み~」 講師:阿見町おやこ支援課 保健師 石川 美由希 氏 ■5歳児健診の概要(資料参照) ・令和7年度から5歳児全員対象の集団健診を実施 ・対象者には1か月前に通知 ・実施項目について,入学準備相談は,就学相談についての情報提供を個別に実施。心理相談と入学準備相談は希望者のみの実施。 ■健診を始めた経緯 ・資料参照 ・5歳児でフォローが必要な児を就学時相談にしっかりつなげていきたいという思い ・令和7年度からこども家庭センターが新設され新体制となることが令和6年度から決まっていたため,新体制になる前に準備をしてこども家庭センターの新設とともに5歳児健診を開始するという方針となった。 ■健診実施に向けての準備(資料参照) ①実施方式 ②医師への協力依頼 ・町内の小児科医が年々減っている状況で,集団健診の回数を増やすことが難しいため,事業全体を見直し5歳児健診を実施する代わりに4か月児健診をなくす方針とした。 ・医師に依頼する回数は変わらず。依頼時は,5歳児健診ポータルのアドレス,国から届いたマニュアルをお渡しした。 ③教育委員会への協力のお願い ・教育委員会担当者もフォローが必要な児が就学時相談に至らないことを課題に感じていた。 ・健診初回,スーツで背広を着て堅い印象であったため,相談しやすい印象の服装にしていただいた ④集団行動の把握 ・健診中に集団教室を実施せず,別の方法を検討 ・保護者が園での様子を把握できる方法を検討 →「園での様子共有シート」を作成 ・「園での様子共有シート」は保護者または園の先生が記入 ⑤巡回相談の見直し ⑥問診票の作成 ・A3用紙,両面 ・発達全般の部分は,心理士より数概念も確認した方が良いと助言あり,国のマニュアル+数概念(1~5まで数えられますか)の項目も追加 ⑦保健相談で実施する課題検討 ・医師診察で課題を実施すると,診察に時間がかかるため,保健相談の場で保健師が実施。 ・課題は,「コミュニケーション」「物の用途」「しりとり」「じゃんけん」。国のマニュアルを参考にしたり,心理士に相談したりして決めた。 ⑧受付番号のシールを作成 ■5歳児健診の実施結果 ・受診率は,95.3%。未受診者は,3歳3か月児健診にも来ず訪問対応した家庭で,大体は受診している。未受診者は電話連絡し,児の様子を聞いてその後のフォローを検討。 ・保健相談:6~7ブース。受診者全員。 ・心理相談実施:基本1ブース。1人につき40分ほど時間がかかったため,人数が多い時は2ブースで対応。 ■良かった点 ・就学前に,児・保護者のフォローができる体制となった。今までフォローしていなかった児でも5歳児健診により,フォローの対象に挙がってきたり,発達個別相談につながったり,保護者の就学に向けての心配に対応できている。 ・年中・年長の初期からの早期支援につながっている。保護者としては,就学相談の先生と対面で助言してくれること,就学に向けての流れを具体的に知ることができるため,今後教育委員会に相談しやすくなっていると考える。 ・「園での様子共有シート」は保護者が記入することがほとんどだが,保健師が確認することで集団生活の様子を聞くことができている。集団行動に課題がある児については,園の先生が記入していただいていることもある。園での様子を保護者が把握してくれているため,支援のしやすさも感じている。ただ,「園から保護者に伝えづらい」「伝えても家族にうまく伝わらない」ということもあるため,園から直接連絡をいただくこともある。 ■課題 ①「園での様子共有シート」について ・園より園での様子を先生に聞かないで健診に臨んでいる人がいるという指摘 →運用の仕方を各園に確認し,集団生活の様子を町がどのように把握するかについて検討していく必要あり。 ②園との連携 ・現在は,町が園との共有が必要と判断した児のみ共有している。園との共有について,保護者から同意はもらっていても,園との共有方法については今後も検討していく必要あり。 ③巡回相談 ・検診と巡回相談の情報共有システムを構築する必要がある。 演題4:「5歳児健診の立ち上げから実施について~下妻市の取りみ組~」 講師:下妻市健康づくり課 課長補佐兼係長 湯本 陽子 氏 ■5歳児健診開始までの取り組み ①当時の現状 ・発達相事業を月2回,1回3~4ケース実施してきたが,ことばの遅れ,こだわり,癇癪,多動といった情緒や行動に課題のある4~5歳児の相談が増え,予約がなかなか入らない状況が続いた。3歳児健診以降でこどもの成長を確認する場がないことから,県の5歳児健診等モデル事業を活用し,平成29年度から「5歳児発達相談」を開始。 ・資料参照 ②5歳児発達相談の内容 ・資料参照 ・下妻市は,虫歯の罹患率が高く歯科チェックを実施 ③5歳児健診への移行 ・資料参照 ・発達相談では,集団生活に入ってから顕著になる児の成長発達の躓きや子育ての困難さ等の特性に保護者が気づくことができ,相談につなげ必要に応じて専門的な発達支援を受けられる場となること,保育施設・教育委員会・福祉等関係機関との連携を深め,子育て療育体制を構築できることを感じていた。医師が入ることで,より専門的判断が可能となるため,5歳児健診の導入を検討。 ■5歳児健診について ・目的,対象者,実施方法,実施時間については資料参照 ・巡回型と来所型による集団健診の組合せ ・実施時期:5月〜10月。健診後の支援教室を利用する期間を増やすこと,保護者や児に早期に関わることを目的とし,前半に実施している。 ・実施時間:保育施設では午後にお昼寝の時間となってしまうことが多いため,午前中とした。医師の診察にある程度の時間がかかることを見込み,5歳児が多い保育施設は2日間に分けて今年度は実施している。 ①健診当日までの準備(資料参照) ・対象児の日頃の様子が分かるよう先生方が気になるところ,困っているところを記入いただく事前質問票の作成を依頼。質問票には,児の氏名を全て入れて園に渡している。 ・保護者宛の通知文には,5歳児健診の目的等を入れて保護者に意識付けや理解を促している。 ・問診票は,表面を家族に事前に記入してもらう。(回収は保育施設) ・健診実施日の約1ヶ月前に保育施設の事前打合せを実施。回収していただいた問診票の受け取り,当日の流れの確認,事前質問票を元に気になる児の情報交換を図っている。 ・保護者の心配事,3歳児健診の状況,過去の関わりの経過等をまとめたスタッフ共有シートを園ごとに作成し,スタッフや各保育施設の職員全員に渡して健診を実施。事前に医師にも共有している。 ②健診当日の流れ ・事前カンファレンス:医師以外のスタッフ全員。これまでの乳幼児健診の受診状況,家庭環境,注意を払う家庭,支援事業に繋げたい5歳児,保育状況等の情報共有を実施。 ・対象の児は,名簿順にビブスを着て実施。 ・身体測定:低身長が疑われる児は成長曲線に記入して,伸びを確認 ・スポットビジョンスクリーナー ・朝の活動・制作等の観察:集団活動。保育施設によって多少内容は異なるが,健康づくり課から内容を提示しており,保育施設の担任の先生を中心にいつもの通り行っていただく。 ・精神・言語発達の確認:心理職が1人ずつ面談。会話,口音等の確認,じゃんけん,しりとりなどのルール理解,微細運動などをみていく。 ・動作模倣・サーキットトレーニング:1人ずつインタビューをしてから,ケンケンパ・ジャンプ・平均台等の動作を通して,運動機能や順番が守れるかといった行動をみている。 ・小児科医師の診察:3分程度/人。計測値,精神・言語発達の状況,運動機能の発達を診察し医学的判定を行っている。 ・事後カンファレンス:当日の様子,日頃の様子,保護者が記入した問診票の内容等を踏まえてスタッフ全員で行い,異常なし,既医療,要医療,既療育,要相談のいずれか総合判定を行っている。判定基準は,5歳児健診マニュアルを参考にしている。 ・場所は,ホール内で各ブースを作って実施。園の設備に応じる。 ■5歳児健診の受診結果 ・支援教室を案内する「要相談」の割合:約3割(令和7年10月時点)。支援教室の案内チラシをお渡ししている。 ■5歳児健診後の支援事業(資料参照) ・個人結果票に当てはまる内容の事業のチラシを同封して案内 ①小児科医との相談会:巡回型は保護者不在のため,十分な説明ができないデメリットあり。健診の結果に疑問を持ったり,子育てに悩みがある保護者に対し対応する場が必要と考え,5歳児健診を担当していただいた小児科医による相談会を今年度から実施 ②5歳児キッズ:要相談判定となった方を対象とした集団で利用する事業。 ・こどもの成長発達の確認,保護者が児の特性に対する理解や相談,就学へのつなぎを実施。 ・年中児と年長児を対象。 ・リトミック・サーキットトレーニング・リズム体操・おやこ体操等体幹やバランスを養う遊び,絵本の読み聞かせ,工作・粘土,ことば遊び,興味の幅を広げる遊び,社会性を育むルール遊び,就学に向けた学習指導。 ・スタッフは,保健師,保育士,健康運動指導士,元教員。初回参加者には,必ず面談を実施し5歳児健診での様子を伝えたり,保護者の気になることなどを話し合い,今後の支援について相談していく。 ・必要に応じて,発達相談事業,医療機関,障害児福祉サービスなどに繋げていく。面談は定期的に実施。 ・5歳児キッズの開催日に合わせて,年に2回就学担当課の担当職員に参加していただき,修学に関しての相談の場を設けている。 ③ことばの教室:発音不明瞭,吃音など言葉に関する教室。1人20分の個別対応。教育相談員,保健師が担当。 ④ペアレント・トレーニング:公認心理師,保健師が対応 ⑤訪問型家庭教育:就学に向けて支援が必要と思われる家庭を担当課に繋ぐ・ ⑥⑦は随時担当課に繋いでいる ⑧各小学校との情報交換 ・市内全小学校に伺う。 ・次年度就学する幼児について,5歳児健診の結果で要相談だった児の情報を提供し小学校の先生方と意見交換をしている。 ・学校支援課,子育て支援課,健康づくり課の庁内の関係課が参加している。 ・注意深くみていただくために就学時健診前に実施。 ・前年度に情報提供した児の就学後の様子について先生方から話を伺っている。新入学児の情報を把握することができ,支援体制を構築する上で参考になった。配慮を要するお子さんに注意を払いながら見守ることができたというご意見あり。 ■5歳児健診の成果・課題 ・資料参照 【Q&A】 (下妻市に質問)  Q 結果の伝え方について,郵送で保護者は知ることになり,その方に合っていると判断される市の教室のチラシも同封しているということか。  A 個人結果票を作成し園を通して配布している。その中に御案内する事業があれば,チラシを同封する。園にも結果を提供して連携を図っている。  Q 保護者がいない中での実施だと思うが,郵送で結果を通知し何か御意見や対応に苦慮した点はあるか。  A 5歳児発達相談を開始してから時間が経っているため落ち着いてきているが,今でも結果の理由についての問い合わせは入る。ただ,発達相談を開始した当初に比べると質問は減ってきている。当初は,要相談になった家庭に理由を電話連絡していた。現在は,結果票を作成することで対応している。口調荒く問合せが来ることもあるが,理由をしっかり説明すると最後には理解され,支援教室に繋がっている。  Q 園での実施だがスペースや物品等園にお借りすると思うが,園の反応は?  A 最初から快くお借りできた。 (阿見町に質問)  Q 医師が1人で30~35人を診察していると思うが,受付から最終カンファレンスまでかかる時間はどれくらいか。  A 受付時間は12時30分~,13時~,13時30分~,14時~,の4段階で実施。14時10分まで受付時間は設けている。医師は12時45分から依頼している。大体15時くらいまで診察していただいている。カンファレンスまで入れると定時くらいまでかかっている。  Q 受付時間を4段階に分けているということは,4グループに分けて実施しているのか。  A 4グループに分けて,待ち時間ができるだけ少なくなるように調整している。 (鉾田市に質問)  Q 健診のスケジュールは?  A 13時30分まで受付,13時30分~14時身体計測(2グループ全て),14時~15時行動観察,15時~16時30分ごろまで診察,16時30分~17時近くまで情報共有の時間となっている。  Q 未受診者への対応(どこまで追っているか等)はどうしているか。  A (鉾田市)全員。次年度には100%受診となっている。    (阿見町)2回くらい来ない時は園に連絡し,様子を確認。大丈夫そうであればフォロー終了。気になることがあれば,訪問する等個々でフォローを検討。    (下妻市)はがき送付,園の先生に協力いただく,保護者に連絡するという方法で受診勧奨している。今年度は健診が終わってしまったため,健診後フォローにあった,小児科医への相談に繋ぎ診察していただく予定。今年度,2名ほど受診していない児がいるため,フォローをしている状況。それでも繋がらないときは園に確認している。 令和7年度土浦・筑西ブロック合同専門研究会 tag:https://www.iba-hokenshi.jp/, 2025-10-22:198 2025-10-22 令和7年度土浦・筑西ブッロク合同専門研修会 1 日時 令和7年9月30日(火)13:30~ 2 会場 茨城県市町村会館 201会議室 3 演題 「人々の元気を支える★保健師のコアとすごワザを確認しよう!」      講師 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻      教授 岡本 玲子 氏 4 内容 【保健師のすごいこと&保健師のコアを確認しよう!】 1937年に法律ではじめて保健師という言葉が使われました。諸外国では、「看護師・助産師法」が大半で、保助看をそろえて法制化している国はみられません。日本は、諸外国とは違い保健師を冠する保健師助産師看護師法を持つめずらしい国です。また、保健師の約7割が行政機関に所属し対人支援・政策の両面から全国の公衆衛生の向上に取り組んでいることも特徴の一つです。 しかし、保健師には保健師全体の協会などがなく、全国保健師長会などのいくつかの団体が存在します。それぞれの団体が様々な意見等を発信しても保健師全体の総意とはならないことも課題の一つです。    保健師の総意の第一歩としてデルファイ調査の結果を見ると、合意に達した保健師のコアは、国内外の各種枠組みの内容を網羅していることが分かりました。 ※保健師のコアバリューとコアコンピテンシー  コアバリュー   保健師の価値・規範であり、行動や意思決定の基準であとなる根源的な考え方。  コアコンピテンシー   保健師の中核となる能力であり、考え方や姿勢、行動特性が含まれる能力。 【プチトーク(シンク・ペア・シェア):この実践に詰まったコアを読み解こう!】 事例をもとに、コアバリューとコアコンピテンシーの分類についてペアワークを実施し、発表しました。  ペアワークを通して様々なコアバリューとコアコンピテンシーを見つけることができ、また、他の発表を聞くことで新たな気づきを得ることができました。 【セルフチェック:あなたの実践に根付いた保健師のコアの認識タイム!】 自分がこれまで実施してきた活動などを思い起こし、コアバリューやコアコンピテンシーに該当するものがあるか振り返りを行いました。実際の活動を思い浮かべながら、先生の話を聞き、普段実践している活動には、たくさんのコアバリューやコアコンピテンシーがちりばめられていたことに気づき、普段の活動に自信を持つことができました。普段から、コアバリューやコアコンピテンシーを意識することで、視点が広がりより良い活動につながるのではないかと感じました 【グループトーク:「私」の気づき&「私たち保健師」のすごワザを言葉に!】  各グループで、この研修会を通しての学びや気づき、自分の活動を振り返ったことで気づいたコアバリューやコアコンピテンシーなどについて話し合いました。 お互いの活動や経験を共有し、フィードバックすることで、新たな気づきを得ることもできました。  グループ発表での意見では、「普段の業務を言語化したり、言葉に落とし込んだりすることがなかった。コアバリューやコアコンピテンシーに落とし込んだことで自分たちの活動を意味付けできたことがよかった。」「普段、コアバリューなどを意識して実践していかなかったが、後輩にも伝えて意識していくことが大切だ。」などの意見がありました。 【コアは保健師の自信と誇りの土台~普及と活用へ~】  公衆衛生とは、人間がより人間らしく生きられるための「生」を衛ることであり、基本的人権を衛ることが使命です。公衆衛生を支える保健師は、人々の「生」を衛る大切な役割を担っています。  「自信と誇りをもって」私たちが活動するためにも、私たちの活動を言語化し理解を得ること、コアバリューやコアコンピテンシーを意識活動していくことの大切さを学びました。