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令和3年度茨城県市町村保健師連絡協議会 第2回専門研究会(ZOOM研修) 議事録
日時:令和3年10月8日(金)10時から11時30分
演題:「コロナ禍における認知症の現状~茨城県コロナ関連メンタルヘルス協議会の活動を含めて~」
講師:筑波大学附属病院 茨城県基幹型認知症疾患医療センター
精神保健福祉士 江湖山さおり先生
<太田会長挨拶>
今回の専門研究会はコロナウイルスやワクチンのことではなく、コロナ禍の中における高齢者の認知症について、皆さんも私自身も気になっているところですので、筑波大学附属病院の江湖山先生にお願いすることになりました。介護・福祉分野になりますが、高齢者の健康づくりという点でも、関心の高い部分だと思いますので、オンラインで先生にいろいろお話をお聞きして皆さんの情報源にして頂ければよいと思います。
<江湖山先生紹介>
大学をご卒業後、一般企業に就労されてその後留学のために退職、しばらく海外で過ごした後、帰国してホームヘルパーとして入職されました。その後介護福祉士を取得し、サービス提供責任者を経験され介護支援専門員の資格も取得され、東京で認知症を専門に訪問診療しているクリニックに入職されました。地域の介護、医療職との連携を担当しながら、医療事務業務にも携われ、訪問診療のクリニック在籍中に社会福祉士、精神保健福祉士の資格も取得されています。その後ソーシャルワーカー業務に専念するために、一般病院に入職され、医療ソーシャルワーカーとして就労されました。その後2013年に現職の筑波大学附属病院で精神保健福祉士として着任され、豊富な知識と経験の基に活躍されています。
<内容>
コロナ禍における認知症の現状について、コロナのメンタルヘルス協議会活動の話も交えながら話したい。
スライド2-3:昨年、厚労省が出した資料、60歳以上の高齢者はかなりリスキーな人たちということを示している。
スライド4-6:広島大学と日本老年医学会によるケアマネージャーオンライン調査:高齢者においてコロナでかなり影響が出ている。入所系の医療介護施設では32.5%に運営状況に大きな変化があり、ほぼ全ての施設で日常的な活動に制限が生じたと回答。さらに通所や訪問サービスに関しては、ケアマネージャーさんの71.5%が運営状況に大きな変化があったと回答、やはりコロナで介護にも大きな変化がある。さらに細かいデータでは、認知症の方への影響の部分についてケアマネージャーさんたちに尋ねたところ、医療介護施設の38.5%と介護支援専門員の38.1%が影響が生じたと回答。さらにその影響は、行動・心理症状であるBPSD出現や悪化、また認知機能の低下、心肺活動量の低下が多く出てきたとあった。図の水色と紫が在宅で、ピンクと黄緑が施設を示しているが、在宅の方が悪くなっているのがわかる。ADL(日常生活動作)や認知機能が下がるなどは当然なことだが、やはり身体の活動性や歩行の悪化が顕著に施設の方より悪くなっている。さらに認知機能の低下については在宅の重度認知症の方と在宅の軽度中等症の方を比べると重度認知症の方がより悪くなっていた。また、BPSDは施設入所者の方が悪くなっていて、やはり重度の方がさらに悪化していた。認知症の方にとても大きな影響があった。さらに在宅認知症患者の介護サービス利用状況に変化があったとする回答が78.7%、そのように回答した介護支援専門員の72.6%が利用状況の変化のため、家族が介護を行うことがあったと回答。家族が介護を行うことによる家族への影響については、仕事を休んだが約4割、体の負担や精神的な負担が生じたが2割を超えていた。緊急事態宣言別で見るとやはり1回目の緊急事態宣言時が一番仕事を休むなどの影響が出ていた。
スライドなし:新型コロナウイルス感染症流行に伴う介護職のメンタルヘルスに関する調査結果:第3波の頃に実施、約800名、回答者は介護職をメインに介護支援専門員やケアマネージャー、保健師、看護師。職場の感染対策はとれましたかという質問に対して65%はとれたと回答。残り35%の感染予防対策がとなかった方たちでの感染対策がとれなかった理由は、対人距離を確保できなかったが42%、これはマスク着用や手指消毒を認知症の方に理解してもらうことが難しく、予防行動をとってもらえないことと、高齢者なので身体介助が多く、高齢者介護は密にならざるを得ない状況があった。また高齢者は難聴も多いため、近くで話さなければならず、職員も利用者同士も耳が悪いから近距離でマスクをはずして話してしまう状況があった。一方、デイサービス施設などで利用者同士を離してしまうと交流が全くできなくなり、サービスの目的がなくなってしまうことになり、職員は悩ましい状況だった。感染予防対策は利用者を守るためのものではあるが、外出制限を含めた行動制限があり、普段なら行っている散歩に行けないと認知症の方から閉じ込められている、自由にさせてもらえないと職員が責められてしまい精神的に辛かったという回答もあった。二つ目に多かったのは感染予防物資の不足で25%、これは介護現場では備蓄が少なかった上、需要が上がって調達が難しかった。病院ですらマスクをなかなか購入できない状況のときもあり、介護の現場は本当に大変だった。また、PPE(個人用防護服)を徹底してしまうとスタッフの姿が変わり、認知症の方に不安を抱かせてしまう原因になるため、できなかったという回答もあった。一方で、物資の不足については同業者同士で物資や情報の共有ができて助けられたという声もあり、普段からの連携が活かされるといういい話もあった。次はサービスの利用の変化について、第3波の時期、茨城県は感染者数がすごく多いわけではなかったこともあり、サービスの利用の減少は37%とそれほど多くはなかった。変化なしも59%。減少したと回答された方にそれはどちらからの申し出か聞くと利用者様からの申し出が66%で、利用者様からの利用控えが多かったという結果が出た。これは日本認知症学会の認知症専門員を対象にした調査でも同じような結果が出ていた。ちなみにこちらの調査では通所系サービスの方が訪問系サービスより高かった結果も出ていたので、やはり外に出ることを控えていたことがわかる。インフォーマルサービスでは圧倒的に提供者側の自粛が多かった。インフォーマルサービスはどうしても感染予防対策としての消毒液なども入手が困難だったこともあり、しょうがない結果だと思う。その後しばらくしてフォローアップの調査をしていて、普通の通所やフォーマルなサービスは復活していたが、インフォーマルサービスは利用の戻りが悪いというデータが出ていた。次の利用されている認知症の方の症状の変化についての質問では、はいが34%と思ったより少ない結果だった。いいえの方への悪化した症状は何ですがという質問では、認知機能の低下が一番多い結果になった。その次がBPSDと続いている。これは最初の広島大学と日本老年医学会の調査でも類似した結果が出ている。次に認知症の介護者の変化では、はいが42%と少し高く、介護者の様子は不安感が一番だった。介護自体がそもそも先行きが見えないものなのにさらに感染症まで先行きが見えない状況で不安は大きかったと思う。その次に多かったのは疲弊している・イライラしていると続くが、やはり在宅介護は利用控えで認知症の方自身がいつもの通所ができず家いることになり、介護者もテレワークで家にいる時間が増えて、一緒にいる時間が増え、今まで見えなかったものが見えてしまって気になってしまうことが影響していると考えられる。逆に施設に入所している方の場合は、面会制限でご家族がなかなか会いに行けず、様子がわからない不安もあったようです。面会ができなくなることで、入所されている方の様子を電話やメールで以前より頻繁に家族に報告するようにしたというスタッフの工夫もあった。また、在宅介護の場合、介護者の方が感染したとき誰が認知症の方の介護をするのだろうか、認知症の方も濃厚接触者になったとき、受け入れ先がなくなってしまうので柔軟に対応できる体制があるといいというケアマネから意見も結構あった。
阪大でも認知症あるいはMCI(軽度認知障害)の独居の方、同居の人がいる認知症の方、比較対象としての健常者として認知症の方と二人暮らしの配偶者の方を対象に同じような調査をしていて、ステイホームを心がけて外出を控えていたという質問で認知症あるいはMCIの方は18.2%、同居の人がいる認知症の方は52.5%、認知症の方と二人暮らしの配偶者(健常者)が78.4%という結果だった。要するに独居の方は認知症でもMCIでもあまりステイホームは心がけていなかったという結果が顕著に出た。独居なので、生活用品の買い物に行く必要があるとは思うが、そうだとしても認知症の方と二人暮らしの配偶者(健常者)も同じ状況であるのに約80%が自粛していたというおもしろい結果だった。独居の方は外出を止めてくれる人がいなかったこともあったと思う。また、認知症の方は独居や同居に関係なく、心理的ストレスを感じたり、睡眠障害や食欲の変化など体の不調があった方は少数で、むしろ認知症の方と二人暮らしの配偶者の方の方が心理的ストレスが強いという結果も出た。スタッフの気持ちで見てみると新型コロナウイルスで命を失うことを恐れていると感じた人が56%、インターネットやニュースでコロナの話題を見ると緊張したり不安になったりする人が61%、新型コロナウイルスがとても怖いが85%ととても高かった。やはりスタッフの皆さんも怖かったとわかる。緊張したり、気持ちが張り詰めたりしたことがありましたかでは93%だった。物事を楽しみにして待つことがあったかでは78%がなかったと回答、不安で落ち着かないような恐怖感を持つことがありましたかという質問には70%の方があったと回答した。すごい緊張感や不安、ストレスの中に皆さんいた、もしくは今もいるのかもしれない。
スライド7-11:筑波大学医学医療系災害・地域精神医学の太刀川先生からの資料、コロナに関連して必要な心のケアについて茨城県コロナ関連メンタルヘルス対策協議会が立ち上がった。昨年のGWあたりは毎日のように先生方とZOOMで会議をしていて、県内のコロナ1例目が出たときには1日に2回や経過報告なども頻繁にオンラインで行っていました。メンタルヘルス対策協議会の活動方針は資料のようになっていて、いろいろな相談を受けて、トリアージして私の方で先生に振っていくという流れ。入院相談があればその都度動いていく。講演なども相談があれば私が受けて先生に相談していく。精神科リエゾンが必要という話になり、資料の図を作成した。活動実績は2021年2月までのもので、現在はもっと増えている。業務として多いのは軽症者施設やホテル療養の方のメンタルヘルスの相談が一番多い。各施設でもスクリーニングしてもらっていて、その中でフラグが立つ人たちで診察を希望する方は電話で診察したり、薬を処方することもあった。精神科転入院相談は8件よりも多かった。総合病院の看護師や職員に対するメンタルヘルス相談したいと師長さんから相談があり、実施したものもある。次の資料はホテル療養に入るとネットでできるスクリーニングを実施している。全員が行うわけではないが、正常な方が多い。中には疲弊して悲しくなってしまっている方もいたので、そういった方には介入している。事例紹介として、30代の看護師で感染者の方へのケアに従事していて、自身の感染が判明した後、自身が関わった患者も感染するなどがあり、自分がうつしてしまったという自責の念が強かった。コロナに感染すると周りの人もPCR検査を受けなければならなかったり、仕事を休むことで同僚にも迷惑をかけてしまっていると真面目な方ほど気分が落ち込んでしまって、電話ではすごく泣いていた。こういう方の場合、電話で診察して、必要であれば薬も処方していた。またフォローアップの電話で話を聞きながら薬を調整していった。この看護師の場合、毎回泣かれていてとても辛そうだったので、毎日先生が電話していた。できるだけ同じ先生が対応できるようにはしていたが、無理なときもあり、複数名の先生で申し送りをし、協力してフォローしていった。コロナの症状も気持ちも落ち着いてきたら私がフォローするようになり、帰宅される頃には大分良くなり、数日おきに電話していた。看護師ということで、陰性化していたとしても職場のPCR検査が陰性にならないと仕事復帰できないなどのルールがあり、また陽性になったらどうしようという不安がストレスになっていました。結果は陰性で自身からこちらに電話もらい、一緒に喜んだ。もう1人の事例は30代の学校関係者、この方は感染源が不明で軽症者のホテル療養者だったが、軽症者でも咳などひどく症状が出ている方もいました。この方も職場の方へ迷惑をかけてしまったと毎回泣いていたが、濃厚接触者のPCR検査が陰性と結果が出て、やっと安心して落ち着いた。学校関係者だと同僚だけでなく、生徒にも迷惑をかけてしまうのではないかと気にされる方が多い。若い方でも相談は多く、帰宅して一旦連絡は切れるが、また伝えていた携帯に連絡が来ることもある。今度はワクチンを接種した際の副反応でコロナの症状を思い出し、またコロナになったのではないかと不安になってPTSDのようになってしまう方もいた。また、最近はコロナ感染者の後遺症で、仕事に戻りたいのに倦怠感がひどくて戻れないなどの相談など、どこに相談したらいいかわからないという連絡も多い。
スライド12-18:筑波大学医学医療系精神医学の根本先生からの資料。先ほどお伝えした事例の方に共通するのがやはり、今後に対する不安が強いことと自分を責めてしまう気持ちが強いこと。そういった気持ちを受け止めてあげることでかなり落ち着く。これを精神科領域では支持的対応という。あらゆる場面で有効活用できれば、診察時に最初は不安そうで涙声の患者さんもだんだんほぐれていって、終わる頃には前向きになっていることもある。
スライドなし:認知症の事例を紹介。
事例1) 80代男性 娘家族と同居 認知症、BPSDあり
私が診るときにはもう認知症専門医にも外来で通院していて、BPSDも薬で落ち着いていた。通所先で感染者が出てしまい、濃厚接触者になりPCR検査で陽性になった。80代ということで入院適応になったが、入院時に杖を振り回す、叩く、蹴ると大暴れで総合病院から受け入れ不可と言われてしまったため、こちらに相談になり、こころの医療センターへつないだ。
事例2)80代女性 夫と息子家族と同居 認知症
相談時、既に総合病院に入院中、同居の家族が陽性になったため、濃厚接触者になり、PCR検査を受けて陽性が判明。メディカルチェックで両側の肺に肺炎があり、高齢でもあったので入院適応になった。重症化しなかったことと、認知症があったことで病室から出てきてしまい、困ると病院から言われた。容体は安定していたので、精神科でも診れると判断。家に帰ることも病院は検討したが、夫以外の家族が皆陽性になっていたため、こころの医療センターにつないだ。
事例3)70代女性 認知症 介護施設入所中 ミニクラスター
入所先の施設で療養していたが、食事量が減少し、サチュレーションも悪くなってきたため、入院調整本部に入院してフォローしてもらいたいと相談があった。入院先を探すが、認知症ということで総合病院から拒否。しかし徘徊してしまうなどではなく、医療保護の理由がないため一旦差し戻しにした。その後、入院調整本部が追加で情報収集し、認知症ではあるが、話をすれば部屋に戻ってくれるということもわかり、食事量の減少や、身体の調子が悪くなっていたこともあり、総合病院が適応と判断された。
事例4)70代女性 娘夫婦と孫の三世代で同居 認知症 ワクチン接種済 娘夫婦から感染
無症状だが、認知症のため外に出てしまう。最近だと高齢者はワクチンが済んでいるが、同居の介護者がまだワクチン接種をしていなく感染してしまい、先に入院してしまうケースが増えている。小さい子どもがいたこともあり、自宅で診るのが困難となり医療保護入院となった。ワクチン接種済の方が増えてきて、コロナに感染したとしても重症化しないので、ワクチンの効果を感じている。重症化しないため、徘徊してしまい困っているという相談が増えている。
事例5)90代男性 介護施設入所中 認知症
メディカルチェックで肺炎はなかったが、90代ということと徘徊行動があるため入所施設では管理できなくなり、総合病院へ移った。しかし、総合病院でも徘徊し、抑制すると大声をあげてしまっていた。軽症なので大部屋で他の患者さんもいる中で暴れてしまうため入院継続が厳しいとなった。肺炎もないので介護施設に戻ろうと思ったが、介護施設でクラスターが発生してしまい、こころの医療センターにつないだ。
事例6)外来 70代女性独居 要支援1くらいでADLも高く元気 MCIの診断で週1のデイケアを利用。そばに娘がいてよく会ってコミュニケーションを取っていたが、コロナでデイケアが中止になり、娘と会うこともできず電話だけになり、人と接する機会がなくなった。外来には来ていたが、だんだん身体の不調の訴えが強くなってきた。MCIでも知的では高い方なので、自身でインターネットでいろいろな病気の情報を調べて外来時に自分はこの病気ではないかと持ってきていた。不安が高まってしまっていたため、一度入院、診察や薬の調整を行った。特に病気はなく、体調も良くなってきたため退院。まだデイケアは再開していなかったので、訪問介護を利用して定期的に人と接する機会をつくった。
スライド19:コロナは目に見えない不安や恐怖、死の危険があり、恐怖とつながりの破壊によって、世界的なメンタルヘルスの危機をもたらしている。これは災害だと言われている。
スライド20-28:災害について、スライドは2015年の水害の時に茨城県認知症疾患医療センターで支援活動を行ったときの報告。災害発生から1ヶ月後くらいに活動していた。このとき茨城県にはまだDPAT(災害派遣精神医療チーム)がなかったため、こころのケアチームという形で活動していた。茨城県認知症疾患医療センターはこのときは7病院だったが、現在は13病院に増えている。主に包括さんたちが気になっているが、手が足りなくて行けないところに訪問していた。訪問活動期間後も2年間くらいは月に1回戸別訪問をしていた。訪問先が不在だとしても、周りの家から情報収集していた。訪問面談を行った103例のうち家族のみとの面談は除外した65歳以上の90例を対象としたデータを紹介。独居が圧倒的に多かった。記憶障害としてちょっとした物忘れがあるが、ADLは高いので、一人暮らしはできている。常総市は筑波大学付属病院の担当エリアでもあったので、訪問後は筑波大附属病院に受診をつなげた方も多かった。訪問時も7ヶ月後も要介護1の認定が多く、認知症はあるけど、一人暮らしできてしまう方が多かった。1人暮らしできるとしても、「要介護1前後」、「独居」の方は“災害”という非常事態に1人では対処しきれなくなってしまう。介護保険に加入しておくことによって行政に把握してもらえ、セーフティーネットとしての機能も期待できるので、外来時に申請を提案したりした。
熊本地震の際のDPAT活用をして対応した事例、地震発生から10日後くらいに現地へ向かい、医療センターチームから引き継ぎしてもらった。
事例1)BPSDが出現し、他の避難者からクレームが来ていた。若年性の若い男性で女性の身体を触ってしまうため奥さんが付きっきりで見ていて疲れてしまっていた。DPATによる訪問診断を提案したが、精神科に抵抗があり家に連れて帰ってしまった。避難所から自宅が近かったので、訪問した。精神科医が行くと逆に刺激になる恐れがあったので、まずは保健師と私でケアマネとも連絡を取りながら訪問した。ショートステイなどは提案していたが、奥様が前向きではなくつながっていなかったが、再度提案してみると、経済的な理由で利用を迷っていたため、今回は福祉避難所を紹介。
事例2)物取られ妄想で避難所でトラブルになってしまっていると避難所スタッフから連絡があった。訪問すると前日に勝手に帰宅してしまっていた。自宅は把握していたので、先生が訪問したところ元気に過ごされていたので、問題ないと判断した。統合失調症で独語が目立ち、薬の飲み方がわからなくなっていた。薬をDMATやDPATから処方はされていても、分包はされておらず、薬が飲めなくなり症状がひどくなってしまっていたため、サランラップで分包した。DPATの拠点本部と保健師の拠点が同じ場所だったので、その都度情報共有していた。
スライド29-31:新型コロナウイルスの発生により、避難所のレイアウトもかなり変わりました。受付の時点で、体温測定や消毒など職員の業務量も増え時間もかかります。発熱者や要配慮者スペース確保など広い場所も必要。茨城県は発熱者はホテル療養に移すことになっている。その場合、どのホテルに行くかなどは事前に把握していると現場に行ったときに混乱しないと思う。スペースの確保が必要のため、避難所の数を増やさなくてはならない。感染予防対策で在宅避難も推奨されてきている。感染予防としては良くもあるが、被災者が分散していると保健師の把握が難しくなり、支援も行き届かなくなる恐れがある。避難所がワクチンの避難所になってしまっていることもあり、避難する際にも確認が必要になってきている。
今年の7月に起こった熱海の土砂災害でもDMATが訪問し、発熱者の検体採取するなど対応した。他にもワクチン接種予定だった方はどうするのか、ワクチン接種直後で副反応がありどうすればいいかなどの相談が多くあった。
茨城県でいうと台風19号による大子町の支援、これは茨城DPATとして認知症初期集中支援チームと回った。土地勘がない場所での活動はその土地の保健師が一緒にいるのは本当に心強い。
スライド32-35:筑波大学附属病院認知症疾患医療センターの紹介
パンフレットは筑波大附属病院認知症疾患医療センターのHPより無料でダウンロード可。電話をもらえればパンフレットの送付も可。茨城県の特徴は災害時支援を行っているので、何かあったときは相談してください。DMATやDPATは期間が決まっていたりするので、その後のサポートなどもできる。高齢者だけでなく発達障害のお子さんやひきこもりの方など若い人や精神疾患の方なども訪問している。ただ、認知症疾患医療センターに要望がないと回れないので、何かあったときは遠慮なくつかってください。
スライド36:茨城県コロナ関連メンタルヘルス対策協議会の紹介。実際相談をもらうときは障害福祉課を通すかもしれないが、急ぎであったり、少しだけ聞いてみたいなどであれば、直接メールや電話でも可能。
コロナが早く終息し、今まで通りの生活に戻ることを願って、本日の話は終了させて頂きたい。ご清聴ありがとうございました。
<質疑応答>
太田会長
私も介護福祉課に勤務しているので、大変関心が高い内容でした。
昨日テレビで災害時にケアマネージャーが関わるところが出ていたが、江湖山先生も災害時の特に認知症の方の対応にはケアマネジャーの役割は大きいと感じていますか。
江湖山先生
常総市の訪問の時は要介護4や5はいなく、3が少しいたくらいでした。やはり要介護3以上になるとケアマネージャーがしっかりついていて、何かあったときは対応しているので、DPATなどが関わらなくても問題ないように調整できている。ケアマネージャーの存在はとても大事だと感じた。ただ、ケアマネージャーがどこまで関わるかは課題もある。例えば、災害などでも避難せず、家で死ぬと主張されている方に対して、危険な状況の中で説得しに行くのはケアマネージャーの仕事なのかと質問を受けたことがあった。私の考えだが、ケアマネージャーも一市民なので、あまりにも危険な場合は自身の身の安全を優先して、自衛隊などプロの人に任せる判断も必要だと思う。
<太田会長挨拶>
本日は現場をよく知っている先生だからこそわかるような具体的で実務レベルのお話をありがとうございました。こころの医療センターがコロナ感染された認知症の方を受け入れているということを存じていなかったので、県の職員の皆様がご苦労されたんだなとわかりました。イメージでしかつかんでいなかった内容が今回データで示して頂けたおかげで深く理解できました。貴重な情報を頂けたと思います。ありがとうございました。
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