茨城県市町村保健師連絡協議会のホームページ

茨城県市町村保健師連絡協議会
トップページ > 事業報告

平成30年度水戸ブロック専門研究会

更新日:2019年01月16日

講師 福山 なおみ氏
講師 福山 なおみ氏
水戸ブロック専門研修会
日時:平成30年11月2日(金)
場所:茨城県市町村会館201会議室 
参加者:31名

〈講演会〉「自殺対策の現状と課題」~生きる支援~
講師 茨城県自殺対策連絡協議会委員 前つくば国際医療大学教授 福山 なおみ氏
内容:
自殺の現状
・H29年は21,321の自殺者数である。そのうち男性が14,826人、女性が6,495人と、男性が多い。男性はSOSを出す確率が少なく、思い立ったら行動にうつしてしまうことがある。女性は自分の身体を傷つける未遂が多い。自傷をする理由はイライラを抑える為が48.5%。
理由は様々な問題が複合的に関わる(例:健康・勤務・家庭・経済・生活・男女・学校等)
・若者の自殺率が高くなってきており、SNSでつながっているケースが多い。若者の生きづらさとして、自己肯定感の低さ、発達障害を抱えている等あり。
・中高大学生の自殺原因・動機として1位は学校問題である。2位は中学生では家庭問題、高・大学生では精神疾患が占めている。
・がん患者の48.6%が自殺行動をしており、そのうち施設内が60.7%を占めている。
・精神障害を持った方で、職場復帰が困難の為自殺行動を起こすケースあり。
・自殺の危険因子:サポート不足、喪失体験、経済的損失、事故傾性(いつもは慎重な運転なのに荒くなったり、治療を放棄したりすること)、児童虐待の体験
・自殺のサイン:過量服薬、過去の自殺未遂歴、身の回りの整理をしていないか
自殺対策の考え方と課題
・福山先生はSNSを利用し匿名で行えるLINE相談を実施している。1万129件の相談があり、20歳未満は43%、20代が39%を占めている。
・自殺を「個人の問題」でなく「社会の問題」と捉えること。自殺対策とは生きる支援。
・市町村でも自殺対策の計画策定していく中で、国が示す「自殺実態プロファイル」では子ども・若者の数は少ないのだが、対策に入れこんでいく必要性が高い。
・病気の回復期は自殺の危険性が高いので注意。療養者の「なりたい自分」の気持ちを尊重し、一緒に考える。あらかじめ医師、本人、家族、パートナーが復帰先のキーパーソン(上司や教員、家族)とのこころの通う打ち合わせが重要。仕事や人間関係に配慮し、こころの負担が軽くなるような対応を話し合う。
・ゲートキーパーの役割が重要。気付き、傾聴、つなぎ、見守りなど。「どうせ私なんか・・・」と対象が感じていたら、「とても心配している」ということを伝えていく。
〈グループワーク〉
4人で1グループとし、それぞれの保健師が経験したケースや支援の方法、市町村の現状などを共有し、発表を実施。
・支援者がSNSというツールに不慣れだと支援が困難。勉強し、相手の懐に入ることも大事。
・自殺を思いとどまることが出来た事例1件。女性が「最後の挨拶」と言って福祉へ面接にきたところを、保健センターも面接に入り、うまく連携することが出来た。元々地域のネットワークができていたこともあり、対象が「今後やりたいこと」を上手く引き出せたのも有効だった。
・市町村単位でSNSで相談を受けてはと言われている市町村あり。福山先生より、近所だと相談者がいやがる可能性があり、匿名性が高い所で相談を受けた方がよいと考えられる。
・思春期の子どもで自殺企図があり、書き込みをキャッチし連携したケースあり。精神的な背景もあり、保健センターもケース会議に参加。実際に動ける相談場所につなげることが大事である。
・人事Gに所属する保健師より、庁内で自死あり。対応する支援者側の感情コントロールも重要。
・25歳女性、「死にたい」という電話が保健センターに入ったケース。HP受診し内服もしていた。「よく電話くれたね」と保健師が対応し、自宅へ訪問し落ち着いたとのこと。本人が家族と話ができておらず、家族への支援がカギとなった。
・保健センターへ電話が頻回のケースでは、同じ対応を繰り返していると支援者側も慣れてしまうことあり。「依存―独立のバランス」関わる側、見守る側のメンタル支援も必要。


市町村保健師連絡協議会ブロック別研修会 グループワーク 
「キャリアラダーの活用について」
 各項目に沿って1グループ5~6名で話し合いを実施
(1) キャリアラダーを活用した人材育成について
① 自分でつけてみてどう感じたか
【キャリアラダー市町村版】
・どこに当てはまるか難しい 
・漠然とした表現が多く、具体的に示してほしい
・地域組織活動が低く、経験のない分野は自信がない
・ヘルス部門でない場合どうしたら良いか?→これまでの経験を基につける
・キャリアシートに自分のこれまでの活動をしっかり書いてからキャリアラダーをつける方がわかりやすい
【私のキャリアシート】
・異動が多く目標立てにくい
・付け方や見方が分からず、戸惑いあり

② 自組織での活用について
・統括保健師と面談を実施
・1年目の保健師では一人で実施するのは難しく、アドバイスを受けながら実施した
・自分の経験年数とキャリアレベルがあっていないと不安になった
・自己評価だと厳しくつけてしまうので、統括保健師との面接等で客観的な視点を入れてもらうことが必要ではないか

(2) 疑問点について
・評価の時期はいつがベストか。異動の時期につけると振り返りになるかも。

水戸保健所 松本課長より
今はラダーに慣れる時期。評価に活かすのはまだ難しく、1つのツールとして活用して欲しい。能力を判断するものではない。抽象的な表現が多いので、具体的に自分が出来た事を記入してみる。水戸保健所では11月に中間評価として経験年数別のグループ面談を実施した。個人それぞれ細かくみていくと、レベルアップしたものがあった。今後、年度末に振り返りを行う予定である。災害時の体制等、経験しないとラダーがつけられない場合があり、職場内で経験を共有していくことが大事。

講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子

関連書類

 

 

ページのトップへ